翳りゆく部屋

翳りゆく部屋

「翳りゆく部屋」は、荒井由実（現：松任谷由実）が1976年3月5日にリリースした7枚目のシングルであり、荒井由実名義としては最後のシングルです。規格品番はETP-20227。1989年12月21日にはCDシングルとしても再発されました。

この曲は、ユーミンが14歳の時に作曲した「マホガニーの部屋」が原型となっています。その原曲に加橋かつみが歌詞をつけた「愛は突然に…」が1971年にリリースされました。ユーミン自身も「マホガニーの部屋」の歌詞を新たに書き換え、メロディーを付与したバージョンをライブで演奏していましたが、音源化は見送られました。その後、歌詞を全面的に書き換え、タイトルも変更して発表されたのが「翳りゆく部屋」です。

レコーディングには東京カテドラル聖マリア大聖堂のパイプオルガンが使用されました。教会音楽の影響を強く受けていたユーミンは、当初教会でのレコーディングを希望していましたが、最終的にパイプオルガンのみの使用となりました。ミュージックビデオも同教会で撮影され、ユーミン自身に加え、パイプオルガンを演奏する松任谷正隆、コーラスに参加したハイ・ファイ・セット、山下達郎、吉田美奈子も出演しています。この映像は、2012年のベストアルバム『日本の恋と、ユーミンと。』の特典DVDに収録されています。ジャケット写真も同教会の祭壇で撮影されました。

ベスト・アルバムにはリミックスが施された「album mix」版が収録されることが多く、シングル版とはドラムスの定位やコーラスの強さなどが異なります。また、一部ボーカルが差し替えられている箇所もあります。2018年の配信リリースでも「album mix」が使用されました。シングル版と同じミックスが収録されているアルバムは限られており、現在はいずれも廃盤となっています。

1970年代後半には、子供番組『ひらけ!ポンキッキ』のスポットCMで、パイプオルガン演奏と男女コーラスによるイントロ部分が使用されました。

また、『世にも奇妙な物語 '93真夏の特別編』の「隣の声」や、1994年放送の月9ドラマ『君といた夏』第11話の挿入歌としても使用されました。東野圭吾の小説『秘密』にもタイトルが登場しています。

1992年9月21日には、『YUMING COLLECTION』にオリジナル・カラオケが収録されました。

オリコンチャートでは22週にわたりランクインし、週間最高10位、累計25.6万枚のセールスを記録しました。

収録曲

Side A:
翳りゆく部屋 (single mix)

Side B:
ベルベット・イースター

「ベルベット・イースター」は1枚目のアルバム『ひこうき雲』からのシングルカットです。

参加ミュージシャン

パイプオルガン: 松任谷正隆
ギター: 大村憲司
ベース: 細野晴臣
ドラムス: 村上秀一
コーラス: ハイ・ファイ・セット（山本潤子、山本俊彦、大川茂）、山下達郎、吉田美奈子

カバー

数多くのアーティストによってカバーされており、以下はその一部です。

都はるみ (1977年)
内藤やす子 (1984年)
島田歌穂 (1991年)
椎名林檎 (1999年)
畠山美由紀 (2007年)
エレファントカシマシ (2008年)
スターダストレビュー (2008年)
つるの剛士 (2009年)
徳永英明 (2010年)
* Blu-BiLLioN (2013年)

「翳りゆく部屋」は、時代を超えて多くの人々に愛され続けるユーミンの代表曲の一つです。

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