耒水

耒水（らいすい）

耒水は、中華人民共和国湖南省を流れる湘江の最長の支流であり、地域経済と生態系に重要な役割を果たしています。別名を「耒河」とも呼ばれ、流域は湖南省の東南部一帯、具体的には郴州市および衡陽市の市域を広く覆っています。耒水沿いの主要な都市としては、耒陽市が挙げられます。

地理

耒水は、桂東県の石門山に源を発し、桂東県、汝城県、資興市、郴州市蘇仙区、永興県、そして耒陽市を経て、衡陽市の中心部から5キロメートル下流の地点で湘江に合流します。本流の全長は439キロメートルに及び、流域面積は11,905平方キロメートルに達します。流域の年平均降雨量は1,534mmと非常に多く、年平均気温は17.1℃です。

河川名の変遷

耒水は、その流れの中でいくつかの異なる名称を持っています。黄草坪より上流では漚江（おうこう）と呼ばれ、黄草坪から下流、橋口墟の下流8キロメートルで左岸から郴水（ちんすい）が合流する地点までは作東江（さくとうこう）と称されます。郴水が合流した後に、現在の耒水という名称に変わります。

水質

1990年代中期以前は、耒水の水質は良好に保たれていました。しかし、2005年には上流の郴州地区でヒ素が基準値を超えて検出されるという問題が発生しました。もっとも、全体的に見ると、耒水の水質は比較的良好であると言えるでしょう。

産業と生態系

耒水は、豊かな漁業資源を有しています。伝統的に「四大家魚」と呼ばれるハクレン、ソウギョ、レンギョ、アオウオをはじめ、エビ、カニ、貝類などが豊富に獲れます。2006年には、遙田水力発電所のダム湖において、生きた化石とも称され、中国の国家一級保護野生動物に指定されている絶滅危惧種であるカラチョウザメ（中華鱘）が発見されました。

下流の湘江との合流点には、江口鳥洲という中州が存在し、そこには数十万羽もの野鳥が生息する群生地となっています。この地域は、生物多様性の保全において重要な役割を果たしています。

上流の黄市鎮では、竹などの資源が豊富であり、広大な竹林が織りなす景観は「黄市竹海」として知られています。耒水は山岳地帯や丘陵地帯を流れるため、流域では森林が密に茂り、木材の生産も盛んです。

耒水流域には、遙田水力発電所が稼働しており、耒中水力発電所も建設が進められています。その他、郷鎮企業が経営する小規模な水力発電所や火力発電所が29か所存在し、地域のエネルギー供給に貢献しています。

まとめ

耒水は、湖南省の経済と環境において重要な役割を担う河川です。水質管理や生態系の保全に配慮しながら、その恵みを最大限に活用していくことが、持続可能な発展に繋がると言えるでしょう。

もう一度検索