耕三寺

耕三寺（こうさんじ）

耕三寺は広島県尾道市の生口島に位置する浄土真宗本願寺派の寺院で、その山号は潮声山（潮聲山）です。1936年から伽藍の建立が始まり、以来、日本各地の古い建物を模した堂塔が見られるこの新しい寺院は、「西の日光」や「母の寺」とも称されています。登録有形文化財として国に認定されている建物は、山門や本堂を含む15棟に上ります。さらに、仏像や茶道具、書画などの美術品や文化財も多く収蔵されており、1953年3月から博物館法に基づく登録博物館としても知られています。

沿革

耕三寺の創設者は、大正・昭和期に実業家として名を馳せた金本耕三です。彼は1927年、母のために「潮聲閣」と呼ばれる邸宅の建設を開始しましたが、母が1934年に亡くなると、金本は彼女の供養を目的に出家し、名前を「耕三」に改名しました。1935年から耕三寺の建立に着手し、彼の構想のもと、境内には日本各地の著名な歴史的建物が再現されました。この取り組みは、延べ30年にわたって続き、日光東照宮の陽明門を模した孝養門や、平等院鳳凰堂を模した本堂といった建物が完成しました。1936年以降、自ら「耕三寺耕三」と名乗るようになった金本の夢は、真に美しい建物の数々で畏敬の念を抱かせるものでした。これにより、耕三寺は「西の日光」と呼ばれるようになり、瀬戸内海の観光地の一つとして親しまれるようになりました。

堂宇

耕三寺の境内には、日本の有名な仏教建築を模した数々の建物が所狭しと並んでいます。以下に主な建物を紹介します。

• - 山門: 京都御所の紫宸殿の門を模して建築。鉄鋼を使用しており、極彩色が特徴です。
• - 中門: 法隆寺西院伽藍の楼門を模した建物で、細部にまでこだわりがあります。
• - 羅漢堂: 法隆寺西院伽藍の回廊を原型とし、内部には五百羅漢像が安置されています。
• - 礼拝堂: 清水寺西門を基にした構造で、中央には観世音菩薩像を置き、参拝者が心を落ち着ける場となっています。

このほかにも、鐘楼や鼓楼、五重塔、法宝蔵、僧宝蔵などが境内に配置されており、その多くは国の登録有形文化財に指定されています。特に五重塔は室生寺の模倣であり、1955年に完成した心柱は鉄鋼製です。
また、孝養門は日光東照宮陽明門を模したものであり、「母親への感謝」が込められた色鮮やかな建築物です。
さらに、千仏洞は約350メートルにも及ぶ地下霊場で、地獄観と極楽観を描く仏教の象徴ともなっています。

文化財

耕三寺は国の重要文化財として、金本耕三による収集品が多数存在し、中でも「絹本著色千手千眼観音像」や「木造釈迦如来坐像」などが指定されています。また、登録有形文化財として15の建物があり、特に潮聲閣がその範を示しています。

参拝情報

耕三寺は年中無休で開いており、拝観時間は9時から17時までです。料金は大人1,400円、シニア1,200円で、学生や中学生以下は無料です。
アクセスは、西瀬戸自動車道の生口島北ICまたは生口島南ICから瀬戸田方面へ車で約10分。
また、船舶利用の場合は、三原港から瀬戸田港までの約25分の船旅が楽しめます。このように、耕三寺は歴史・文化・自然を感じることができる場所として、多くの人々に愛されています。

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