聖アヌンツィアータ騎士団

聖アンヌンツィアータ騎士団：サヴォイア家の歴史と栄光を象徴する騎士団

聖アンヌンツィアータ騎士団（Ordine Supremo della Santissima Annunziata）は、1362年にサヴォイア伯アメデーオ6世によって創設された、中世イタリアに起源を持つ騎士修道会です。当初は宗教的な色彩が強い騎士団でしたが、後にサヴォイア家の宮殿騎士団、そしてイタリア王国の最高勲章へと変遷を遂げました。現在もサヴォイア家による名誉勲章として、その歴史と伝統を継承しています。

歴史：宗教的起源から世俗的騎士団へ

騎士団は、アメデーオ6世によって「受胎告知」を意味するアンヌンツィアータを冠し、宗教的な騎士団として発足しました。当初は15名の騎士で構成されていましたが、時代とともにその人数は増員されました。16世紀には、カルロ3世やエマヌエーレ・フィリベルトによる改革を経て、組織制度が刷新され、名称も「最も神聖なる受胎告知の騎士団」と改められました。この改革により、騎士団はより世俗的な性格を強め、サヴォイア家の宮殿騎士団としての役割を担うようになります。しかし、修道騎士団としての精神も残っており、カトリック教徒であり、軍事的な功績をあげた人物が騎士に叙任されるという伝統も守られました。

1985年には、当時の騎士団長であったヴィットーリオ・エマヌエーレ・ディ・サヴォイアによって規則が改正され、現在の受勲資格が定められました。騎士団の定員は20名とされ、叙任はサヴォイア家当主が行いますが、騎士団の助言を受ける必要があります。受勲者は、既に聖マウリッツィオ・ラザロ騎士団の騎士であること、軍務またはサヴォイア家への顕著な功績をあげたカトリック教徒であることが条件となっています。また、1925年にはイタリア王国議会が、騎士団の叙任を事実上の最高勲章とする議案を可決しました。

組織：騎士の称号と装飾品

聖アンヌンツィアータ騎士団の組織内では、騎士団長を除いては全ての騎士が同等の称号を有しています。騎士に与えられる称号は「最も神聖なるアンヌンツィアータの騎士」であり、階級による上下関係はありません。騎士には、「グランデ・コッラーナ（Grande Collana）」と「ピッコラ・コッラーナ（Piccola Collana）」という2種類の首飾りが与えられます。これらは、騎士の称号とともに授与される金細工の装飾品で、それぞれ着用する場が異なります。また、首飾りにはサヴォイア家の標語である「F.E.R.T.」が刻まれており、これは「Fortitudo Eius Rhodum Tulit」または「Foedere et Religione Tenemur」という言葉に由来するとされています。

組織運営：大評議会

騎士団の運営は、大評議会（Grand Magisterium）によって行われます。大評議会は、騎士団やサヴォイア家に関する諮問機関であり、サヴォイア家に関連する要人によって構成されています。現在の評議委員には、騎士団長でありサヴォイア家当主であるヴィットーリオ・エマヌエーレ・ディ・サヴォイアや、枢機卿ジョヴァンニ・ケーリ、司教フランチェスコ・サヴェリオ・サレルノなどが名を連ねています。

現代における聖アンヌンツィアータ騎士団

イタリアが共和制に移行した後、騎士団は王国の最高勲章としての地位を共和国勲章に譲りましたが、サヴォイア家による名誉勲章として存続しています。現在も、その長い歴史と伝統を重んじ、サヴォイア家の権威と栄光を象徴する存在として、重要な役割を果たし続けています。

関連情報

サヴォイア家
騎士団

外部リンク

* Ordine supremo della Santissima Annunziata - official website of the dynastic orders of the Royal House of Savoy

出典

引用元

もう一度検索