聖カタリナの神秘の結婚 (コレッジョ、カポディモンテ美術館)
『聖カタリナの神秘の結婚』は、イタリア・ルネサンス期の画家コレッジョが1518年から1520年頃に制作した油彩画です。この作品は、アレクサンドリアの聖カタリナと幼子イエスとの神秘的な結婚を描いており、コレッジョの代表的な作品の一つとして知られています。小品ながらも複製が多く、一時的に帰属が疑われたこともありました。現在、この作品はファルネーゼ家のコレクションを基盤とするナポリのカポディモンテ美術館に所蔵されています。
画面中央には、ナツメヤシの葉を持つ聖カタリナがひざまずき、幼子イエスから指輪を受け取ろうとする姿が描かれています。聖母マリアはカタリナの左手を支え、指輪を持つイエスの右手を添え、この結婚の儀式を導いています。カタリナの足元には殉教の剣が置かれ、彼女の運命を示唆しています。聖母マリアの前傾姿勢は、コレッジョの他の作品『東方三博士の礼拝』との共通点です。
特筆すべきは、向き合う聖母とカタリナの左右対称性です。この構図は画面に調和をもたらし、二人の視線は指輪へと集中しています。一方、幼子イエスは笑顔で振り返り、聖母に同意を求めているようです。この作品において、イエスは過去の作例よりも成長し、服を着た姿で描かれている点は注目に値します。通常、この時期の幼児イエスは裸で描かれるのが一般的であり、コレッジョは敢えて規範を逸脱しています。
また、本作品にはマニエリスムの影響が認められ、特にドメニコ・ベッカフーミの影響が指摘されています。背景に広がる風景は、光と形態の豊かな変化に満ちており、コレッジョが16世紀の画家の中でも傑出した自然の解釈者であることを示しています。
作品の帰属については、かつてアンニーバレ・カラッチとされたこともありましたが、X線撮影による科学的な調査によってコレッジョの初期の様式であることが判明し、その真筆性が確認されました。
本作品に関する最初の確実な記録は、1596年4月27日付けのバルバラ・サンセヴェリーノ伯爵夫人の所有品に関するメモです。そこには「聖カタリナの結婚と呼ばれるコレッジョの絵画、小さいながらも極上の美しさの喜び」と記されています。バルバラはパルマに隣接するサーラ・バガンツァの領主の妻でしたが、夫の死後、マントヴァ公爵ヴィンチェンツォ1世・ゴンザーガと親しい関係になりました。コレッジョの作品に関心を持っていたヴィンチェンツォ1世にこの絵画を贈ろうとしましたが、実現には至りませんでした。
バルバラが再婚し、コロルノに移った1596年以降、コレッジョの絵画を巡って、第4代パルマ公爵ラヌッチョ1世・ファルネーゼとの間で対立が生じます。1612年、サンビターレ家はラヌッチョを排除する陰謀を企てましたが、発覚し、バルバラ、ジローラモ、孫のランフランチェスコらが処刑され、財産が没収されました。これにより、『聖カタリナの神秘の結婚』はファルネーゼ家の所有となりました。
その後、絵画は一時的にローマのファルネーゼ家に移されたと考えられています。これは、カラッチ一族とその美術学校が人気を博し、ローマでコレッジョの名声が頂点に達した時期と重なります。1644年にはローマのファルネーゼ宮でコレッジョの同主題の小型の作品が記録されています。一方、1657年にはフランチェスコ・スカンネッリがパルマのジャルディーノ宮でコレッジョの聖カタリナについて言及しています。
最終的に、1734年に絵画はパルマからナポリに移され、カポディモンテ美術館の設立とともに収蔵されました。
この小品は非常に人気があり、多くのエングレーヴィングや複製が制作されました。パルマ派の画家であるパルミジャニーノも、この作品に触発され、ロンドンのナショナル・ギャラリーにある『聖カタリナの神秘の結婚』を描いています。また、ジョルジョ・ギージによって16世紀にはすでにエングレーヴィングが制作されており、バロック期のジョヴァンニ・バティスタ・メルカティはよりオリジナルに忠実なエングレーヴィングを制作し、学者レリオ・ギディッチオーニに捧げています。メルカティのエングレーヴィングは彼の代表作の一つに数えられています。
スイス出身の新古典主義の女流画家アンゲリカ・カウフマンも1773年にナポリでこの絵画の複製を制作しており、その人気と影響の大きさを物語っています。
コレッジョが描いた『アレクサンドリアの聖カタリナの神秘の結婚』を扱った作品としては、以下のようなものが知られています。
[作品1] 詳細は不明
[作品2] 詳細は不明
[作品3] 詳細は不明
また、本作品をもとに制作された複製としては、以下のようなものが知られています。
[複製1] 詳細は不明
[複製2] 詳細は不明
[複製3] 詳細は不明
作品の詳細
画面中央には、ナツメヤシの葉を持つ聖カタリナがひざまずき、幼子イエスから指輪を受け取ろうとする姿が描かれています。聖母マリアはカタリナの左手を支え、指輪を持つイエスの右手を添え、この結婚の儀式を導いています。カタリナの足元には殉教の剣が置かれ、彼女の運命を示唆しています。聖母マリアの前傾姿勢は、コレッジョの他の作品『東方三博士の礼拝』との共通点です。
特筆すべきは、向き合う聖母とカタリナの左右対称性です。この構図は画面に調和をもたらし、二人の視線は指輪へと集中しています。一方、幼子イエスは笑顔で振り返り、聖母に同意を求めているようです。この作品において、イエスは過去の作例よりも成長し、服を着た姿で描かれている点は注目に値します。通常、この時期の幼児イエスは裸で描かれるのが一般的であり、コレッジョは敢えて規範を逸脱しています。
また、本作品にはマニエリスムの影響が認められ、特にドメニコ・ベッカフーミの影響が指摘されています。背景に広がる風景は、光と形態の豊かな変化に満ちており、コレッジョが16世紀の画家の中でも傑出した自然の解釈者であることを示しています。
作品の帰属については、かつてアンニーバレ・カラッチとされたこともありましたが、X線撮影による科学的な調査によってコレッジョの初期の様式であることが判明し、その真筆性が確認されました。
来歴
本作品に関する最初の確実な記録は、1596年4月27日付けのバルバラ・サンセヴェリーノ伯爵夫人の所有品に関するメモです。そこには「聖カタリナの結婚と呼ばれるコレッジョの絵画、小さいながらも極上の美しさの喜び」と記されています。バルバラはパルマに隣接するサーラ・バガンツァの領主の妻でしたが、夫の死後、マントヴァ公爵ヴィンチェンツォ1世・ゴンザーガと親しい関係になりました。コレッジョの作品に関心を持っていたヴィンチェンツォ1世にこの絵画を贈ろうとしましたが、実現には至りませんでした。
バルバラが再婚し、コロルノに移った1596年以降、コレッジョの絵画を巡って、第4代パルマ公爵ラヌッチョ1世・ファルネーゼとの間で対立が生じます。1612年、サンビターレ家はラヌッチョを排除する陰謀を企てましたが、発覚し、バルバラ、ジローラモ、孫のランフランチェスコらが処刑され、財産が没収されました。これにより、『聖カタリナの神秘の結婚』はファルネーゼ家の所有となりました。
その後、絵画は一時的にローマのファルネーゼ家に移されたと考えられています。これは、カラッチ一族とその美術学校が人気を博し、ローマでコレッジョの名声が頂点に達した時期と重なります。1644年にはローマのファルネーゼ宮でコレッジョの同主題の小型の作品が記録されています。一方、1657年にはフランチェスコ・スカンネッリがパルマのジャルディーノ宮でコレッジョの聖カタリナについて言及しています。
最終的に、1734年に絵画はパルマからナポリに移され、カポディモンテ美術館の設立とともに収蔵されました。
作品の影響
この小品は非常に人気があり、多くのエングレーヴィングや複製が制作されました。パルマ派の画家であるパルミジャニーノも、この作品に触発され、ロンドンのナショナル・ギャラリーにある『聖カタリナの神秘の結婚』を描いています。また、ジョルジョ・ギージによって16世紀にはすでにエングレーヴィングが制作されており、バロック期のジョヴァンニ・バティスタ・メルカティはよりオリジナルに忠実なエングレーヴィングを制作し、学者レリオ・ギディッチオーニに捧げています。メルカティのエングレーヴィングは彼の代表作の一つに数えられています。
スイス出身の新古典主義の女流画家アンゲリカ・カウフマンも1773年にナポリでこの絵画の複製を制作しており、その人気と影響の大きさを物語っています。
ギャラリー
コレッジョが描いた『アレクサンドリアの聖カタリナの神秘の結婚』を扱った作品としては、以下のようなものが知られています。
[作品1] 詳細は不明
[作品2] 詳細は不明
[作品3] 詳細は不明
また、本作品をもとに制作された複製としては、以下のようなものが知られています。
[複製1] 詳細は不明
[複製2] 詳細は不明
[複製3] 詳細は不明
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。