聖霊のバプテスマ

聖霊のバプテスマとは

聖霊のバプテスマは、新約聖書に記されている、イエス・キリストが授ける聖霊による特別な体験を指します。この体験は、キリスト教の様々な教派において重要な教義の一つとされていますが、その解釈や理解は教派によって大きく異なります。

聖書における記述

ルカによる福音書では、イエス・キリストは聖霊のバプテスマを「父の約束」や「いと高き所から力を着せられる」と表現しています。また、使徒の働きでは「聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受ける」と述べられており、聖霊のバプテスマが信者に力を与えるものであることが示唆されています。

各教派の解釈

カトリック

ローマ・カトリック教会では、聖霊は洗礼と堅信の秘跡を通して信者に与えられると考えられています。特に堅信の儀式は、「ペンテコステの日に使徒たちに与えられた聖霊の特別な注ぎ」を再現するものとされます。そのため、カトリック教会では、聖霊のバプテスマは、これらの秘跡を通して既に与えられている賜物の刷新と解釈されます。

ただし、カトリック・カリスマ刷新運動においては、聖霊による更なる経験が強調され、「聖霊のバプテスマは秘跡ではないが…秘跡と関係している」と捉えられています。この経験は「御霊の実を結び、キリスト者の生活を刷新する」と信じられています。

ペンテコステ派

ペンテコステ派では、聖霊のバプテスマは新生（回心）とは別の、異言を伴う霊的体験であると主張されています。ペンテコステ派の初期の指導者であるチャールズ・パーハムは「聖霊のバプテスマを受けることが大患難時代を逃れる唯一の方法であり、異言がその唯一の保証である」と教えました。また、ウィリアム・シーモアは「異言を語らない者は、聖霊のバプテスマを受けているとは言えない」と述べ、異言を聖霊のバプテスマの重要な証拠と位置付けました。

福音派

福音派では、イエス・キリストを信じた瞬間に、聖霊がクリスチャンの内に内住すると考えられています。この内住は客観的な事実であり、必ずしも体感できるものではありませんが、信者はそれによってキリストの体に属する者となり、永遠にそのつながりが断たれることはない、とされます。また、信仰生活において圧倒的な臨在体験や力が伴うこともありますが、これは信仰の確信を深めるためのものであり、聖霊のバプテスマそのものではありません。

福音派では、使徒の働きに記録されている聖霊の体験（8章14-17節、19章2-6節など）は、救われた後、どのように救われたかを確認するためのものと解釈されます。

まとめ

聖霊のバプテスマは、キリスト教において重要な概念ですが、その理解は教派によって大きく異なります。カトリックでは堅信、ペンテコステ派では異言、福音派では内住による確信を重視しており、それぞれ異なる解釈に基づいた教えを展開しています。聖霊のバプテスマについての理解を深めることは、自身の信仰をより豊かにする上で重要な要素となるでしょう。

参考文献

『聖書の教理』尾山令仁 羊群社 ISBN 4897020360
『フルクテンバウムセミナー「聖書が教える救いとは―33の事項」DVD ハーベストタイム

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