秘跡

秘跡（サクラメント）とは

秘跡（サクラメント）とは、カトリック教会において、キリストの神秘を目に見える形で表す特別な儀礼のことです。これは、「イエス・[[キリスト]]によって制定され、教会にゆだねられた、神の恵みを実際にもたらす感覚的しるし」と定義されます。かつては「秘蹟」とも書かれていました。

プロテスタントでは「聖礼典・礼典」、正教会では「機密」、聖公会では「聖奠」などと訳され、教派によって訳語も意味も異なります。

秘跡の概念

初代教会以来、正統教会では秘跡が守られていましたが、教派の分裂により概念が広がりました。カトリック教会では12世紀に七つの秘跡が確定しました。秘跡は聖職者によって執り行われ、聖別された水、油、ぶどう酒などによって神の恵みが与えられると考えられています。

多くの教派では、秘跡を「神の恵みを直接人間に伝えるもの」と捉えますが、プロテスタントの一部では「単なる象徴」と解釈することもあります。

語源

「秘跡」はラテン語の「サクラメントゥム」に由来し、「聖別されたもの、行い」を意味します。さらに、これはギリシア語の「ミュステリオン」（秘儀）の翻訳です。東方教会では、このギリシア語の語源をそのまま用いることもあります。

カトリック教会の七つの秘跡

カトリック教会では、以下の七つの秘跡が認められています。

1. 洗礼
2. 堅信
3. 聖体
4. ゆるし
5. 病者の塗油
6. 叙階
7. 結婚

これらの秘跡は、キリスト教入信の秘跡（洗礼・堅信・聖体）、いやしの秘跡（ゆるし・病者の塗油）、交わりと使命を育てる秘跡（叙階・結婚）に分類されます。

秘跡を授けるのは、基本的には司教または司祭ですが、洗礼は助祭も授けることができ、緊急時には誰でも可能です。聖体の秘跡は、ミサで聖変化を行うのは司祭ですが、聖体拝領は助祭や祭壇奉仕者なども行うことができます。叙階の秘跡は司教のみが行えます。結婚の秘跡は、司祭または教会の有資格の証人の司式のもとで、信者同士が授け合います。

諸派におけるサクラメントの比較

キリスト教の教派によって、秘跡の数や意味についての解釈は異なります。

西方教会

プロテスタント

プロテスタント教会では、洗礼と聖餐の二つを礼典として認めることが多いです。これは、宗教改革の際に、聖書に記述がある（マタイ28・19、26・26）洗礼と聖餐のみがキリストによって制定されたとみなされたためです。他の五つの秘跡は聖書に根拠がないとして廃止されました。プロテスタントでは、結婚式や按手礼を行いますが、秘跡とはみなされていません。礼典を「恵みの手段」と捉えるか、「信仰の表明」と捉えるかによって、教派間の理解は異なります。

聖公会

聖公会では、洗礼と聖餐を福音に根拠がある聖奠（サクラメント）として認めています。また、堅信、聖職按手、聖婚、個人懺悔、病人の按手および塗油を聖奠的諸式として認めています。

東方教会

正教会

正教会では、秘跡を「機密」と訳します。「堅信」を「傅膏」、「ゆるしの秘跡」を「痛悔」、「叙階」を「神品」、「結婚」を「婚配」、「病者の塗油」を「聖傅」と訳します。カトリック教会とは位置づけが多少異なります。

まとめ

秘跡は、キリスト教において重要な儀礼であり、神の恵みを人々に伝える手段とされています。教派によって秘跡の数や意味の解釈は異なりますが、その根底には、神の恩恵を人々に伝えようとする強い信仰があるといえるでしょう。

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