聖飢魔II 悪魔の逆襲

聖飢魔II 悪魔の逆襲！：ファミコンを舞台にした悪魔的冒険

1986年12月25日、CBSソニーより発売されたファミリーコンピュータ用アクションゲーム『聖飢魔II 悪魔の逆襲！』は、人気ヘヴィメタルバンド聖飢魔IIを題材とした作品です。プレイヤーはデーモン小暮を操作し、5つのステージをクリアして、宿敵ゼウスから仲間と悪魔教典を取り戻すというストーリーが展開されます。

ゲーム内容：悪魔的試練と楽器収集

ゲームは全5面構成の横スクロールアクションで、各ステージで聖飢魔IIのメンバー1人がゼウスに囚われています。プレイヤーは、ステージの門番を倒して鍵を入手し、囚われたメンバーを救出していく必要があります。各ステージには特定の楽器アイテムが隠されており、これら全てを集めなければエンディングは「大黒ミサ」が開けないバッドエンドとなります。

ゲームの進行には、画面左上のタイマー「LIFE」が大きく関わってきます。タイマーは常に減少し続け、敵の攻撃を受けるとさらに減少。ゼロになるとゲームオーバーとなります。アイテム「生き血」を入手することで、タイマーを回復させることができます。

武器は、ステージ内で集めた「ドル袋」でアイテムを購入することで強化できます。初期の石から始まり、ジャックナイフ、斧、炎弾、コウモリと段階的にアップグレードしていきます。コンティニュー機能やステージセレクトも存在しますが、これらを使用するとこれまでのステージで入手した楽器アイテムが全て失われ、バッドエンドに繋がってしまうという、独特のシステムが採用されています。

ストーリー：ファミコン世界での地球征服

地球征服を目論む聖飢魔IIは、その布教活動の一環としてファミコンの世界へ足を踏み入れます。しかし、大黒ミサの準備中に宿敵ゼウスの妨害を受け、悪魔教典を奪われ、メンバーも捕らえられてしまうのです。デーモン小暮は、仲間を救出し、悪魔教典を取り戻し、大黒ミサを成功させるべく、ファミコン世界を駆け巡る冒険へと旅立ちます。

登場キャラクター：聖飢魔IIの面々

プレイヤーキャラクターであるデーモン小暮は、不死身の悪魔として敵の攻撃にも耐え、仲間救出に向かいます。囚われたメンバーは、エース清水、ジェイル大橋、ライデン湯沢、ゼノン石川の4名。それぞれがギター、ドラムス、ベースといった楽器を担当し、ゲーム内ではそれぞれの担当楽器アイテムが登場します。そして、最終ボスとして、聖飢魔IIの宿敵である神ゼウスが立ちはだかります。

MSX2版：異なる音楽とグラフィック

『聖飢魔IIスペシャル 悪魔の逆襲』というタイトルで1987年にMSX2版が発売されました。ファミコン版とは異なるグラフィックと、聖飢魔IIの楽曲がBGMとして使用されている点が大きな違いです。採用された楽曲には「EL・DO・RA・DO」「蝋人形の館」「魔界舞曲」など、聖飢魔IIを代表する曲が含まれています。しかしながら、MSX2版は商業的には成功せず、多くの在庫がデッドストックとして残ったと伝えられています。

ゲーム評価：賛否両論

ファミコン通信でのクロスレビューでは合計21点、ファミリーコンピュータMagazineの読者投票では14.07点という評価でした。一方で、ゲーム評論家からは「聖飢魔IIの人気だけで売れたゲーム」といった厳しい意見も存在します。イラストレーターのみうらじゅん氏からは、自身の聖飢魔IIへの愛着も踏まえた上で、痛烈な酷評がなされています。

まとめ

『聖飢魔II 悪魔の逆襲！』は、聖飢魔IIの世界観をゲームとして忠実に再現した、独特のゲーム性とストーリーを持つ作品です。商業的な成功という面では必ずしも評価は高くありませんでしたが、聖飢魔IIファンには特別な存在として記憶されていると言えるでしょう。その独自のゲームシステムや、当時としては斬新だったタイアップ作品としての試みは、ゲーム史においても特筆すべき点と言えるのではないでしょうか。現在ではレトロゲームとして、当時のゲーム事情を知る上での貴重な資料となっていると言えるでしょう。

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