肉刺

肉刺（まめ）とは？

肉刺（まめ）は、手や足などの皮膚に物理的な刺激が繰り返し加わることで発生する水ぶくれのことです。医学的には「外傷性水疱」とも呼ばれ、外部からの力、特に摩擦や圧迫が主な原因となります。日常生活でよく経験する「靴ずれ」も、この肉刺の一種です。皮膚の表面が外部からの刺激を受け続けると、表皮と真皮の間にずれが生じ、その隙間に体液（組織液）が溜まって水疱が形成されます。これは、体が皮膚の内部組織を保護しようとする自然な防御反応です。肉刺ができると、通常、ヒリヒリとした不快な痛みを伴い、場所によっては歩行や手の作業が困難になることもあります。

肉刺ができやすい状況

肉刺は、皮膚に普段以上の摩擦や圧迫が加わる状況で発生しやすくなります。例えば、サイズが合わない靴や新しい靴を履いたとき、長距離のウォーキングやランニングなどの激しい運動を行ったとき、あるいは重い荷物を持ったり工具を長時間使用したりする肉体労働などが挙げられます。特に、皮膚が汗などで湿っている状態は、摩擦が生じやすくなるため、肉刺のリスクが高まります。また、靴の中に小石や砂などの異物が入ったまま履き続けることも、皮膚への刺激となり肉刺の原因となることがあります。

肉刺を予防するために

肉刺を防ぐためには、皮膚への過度な摩擦や圧迫を避けることが最も重要です。いくつかの予防策を組み合わせることで、発生リスクを減らすことができます。

まず、足の場合は、自分の足に合った靴を選ぶことが基本です。サイズや幅が適切か確認し、必要に応じて調整しましょう。靴紐は出発前にしっかりと結び、足が靴の中で滑らないようにします。長距離の歩行やランニングの際は、厚手の靴下を選んだり、薄手と厚手を重ね履きしたりすることで、靴と足との間の摩擦を軽減できます。靴下は吸湿性・速乾性に優れた素材を選び、足が湿るのを防ぐようにします。通気性の良い靴を選び、靴自体を乾燥させておくことも予防につながります。靴の中に異物が入った場合は、すぐに取り除きましょう。

手の場合は、作業内容に応じて適切な手袋を着用することが有効です。

摩擦が生じやすい部位には、事前にベビーパウダーなどを塗布して皮膚の滑りを良くしたり、ワセリンなどの油分を塗布したりする対策も有効です。また、特定の部位に摩擦が生じやすい場合は、事前にテーピングを施して皮膚を保護することも予防法の一つです。

肉刺ができてしまったら

残念ながら肉刺ができてしまった場合は、適切な処置が必要です。基本的には、水疱を破らずに自然に吸収されるのを待つのが最も安全な方法とされています。水疱の上の皮膚は、下にある傷口を保護する天然のバリアの役割を果たします。患部へのさらなる刺激を避けるために、絆創膏や保護パッドなどで優しく覆うと良いでしょう。

もし、水疱が自然に破れてしまった場合は、感染を防ぐために患部を清潔に保つことが重要です。流水で優しく洗い流すか、消毒液を浸した清潔なガーゼやティッシュで丁寧に拭き取ります。破れた皮は、無理に剥がさずに、そのままにしておく方が下層の皮膚が再生するのを助けます。

痛みが強く、どうしても水疱内の液体を排出したい場合は、ごく細い針を消毒し、水疱の端にそっと刺して液体を抜く方法がありますが、この処置は感染のリスクを伴うため、自己判断で行う際は十分な注意が必要です。液体を抜いた後は、清潔な絆創膏や、傷口を乾燥させずに治癒を促す被覆材で保護します。皮膚が剥がれてしまった場合も、同様に被覆材で患部を保護することが推奨されます。

ただし、肉刺の痛みが非常に強い場合や、広範囲に及ぶ場合、あるいは赤み、腫れ、熱感、膿が出るなどの感染の兆候が見られる場合は、速やかに皮膚科などの専門医の診察を受けるようにしましょう。特に、糖尿病などの基礎疾患がある方は、自己判断せず、必ず医師に相談してください。

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