肝付兼武

肝付兼武（きもつき かねたけ）

肝付兼武は、江戸時代前期の薩摩藩士であり、喜入肝付氏の二代目当主として知られています。喜入肝付氏は、肝付氏の12代当主である肝付兼忠の三男、兼光を祖とする分家にあたります。

生い立ちと家督相続

慶長6年（1601年）に、肝付兼篤の子として生まれました。慶長14年（1609年）に父が亡くなったため、家督を相続し、喜入肝付氏の当主となりました。藩主である島津家久の面前で元服を行い、兼武と名乗るようになります。この元服は、単なる通過儀礼ではなく、藩内における自身の立場を明確にする重要な儀式でした。

大坂冬の陣への出陣

慶長19年（1614年）には、大坂冬の陣に新納久信と共に薩摩藩の武将として出陣しました。しかし、戦地である肥後国に到着した際には、既に和睦が成立しており、戦闘には参加することなく帰国することとなりました。この出来事は、戦国時代の終焉と平和な時代への移行を象徴する出来事と言えるでしょう。

若宮大名神の勧請

元和2年（1616年）には、領内に若宮大名神を勧請しました。これは、領内の安寧と繁栄を祈願するものであり、当時の社会における宗教的な側面を示すものです。この神社の建立は、領民からの信頼を集めることにも繋がったと考えられます。

死去と後継者

寛永12年（1635年）8月19日に、肝付兼武は亡くなりました。家督は嫡男である兼屋が相続し、喜入肝付氏の歴史は続いていくことになります。

まとめ

肝付兼武は、江戸時代初期の動乱期に、薩摩藩士として、また喜入肝付氏の当主として生きた人物です。大坂冬の陣への出陣や、領内における神社の勧請など、彼の行動は、当時の社会情勢や宗教観を映し出すものであり、歴史を理解する上で重要な要素となっています。

参考文献
* 「喜入村郷土史」

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