股ヶ池停留場

股ヶ池停留場

股ヶ池停留場（ももがいけていりゅうじょう）は、かつて大阪府大阪市阿倍野区内に設けられていた、南海電気鉄道平野線の鉄道駅（電停）でした。その名の通り、近くにある桃ヶ池に由来しており、大正時代から昭和後期にかけて、地域の交通を担っていました。

位置と構造

この停留場は、JR（旧国鉄）阪和線の高架橋と平面交差する地点のすぐ北側に位置していました。平野線の廃止時点では、線路を挟んでホームが互い違いに配置される千鳥式2面2線の構造を採用していました。具体的には、踏切を境にして、北側に平野方面へ向かう下りホーム、南側に今池方面へ向かう上りホームがそれぞれ設けられていたのです。

開業当初の平野線では、股ヶ池停留場は線路を挟んでホームが向かい合う対向式でしたが、昭和の初め頃に上りホームが移設されました。この移設後のホーム位置が、平野線が廃止される1980年まで長きにわたり使用されました。特に、前身である阪和電鉄が建設した阪和線の高架橋と並び立つその姿は、戦前から続くこの地の風景を色濃く残しており、当時の雰囲気を今に伝える貴重な存在でした。

廃止後の状況

しかし、時代の流れとともに平野線が廃止されると、股ヶ池停留場に関する全ての地上構造物は撤去されてしまいました。そのため、残念ながら営業していた当時の駅の痕跡や遺構は一切残されていません。さらに、かつて平野線の電車が高架下をくぐり抜けていた阪和線の古い高架橋も、2004年から2006年にかけて実施された阪和線の線路付け替え工事に伴い取り壊されており、当時の立体交差の様子を偲ばせるものも失われています。

歴史

股ヶ池停留場の歴史は、大正時代にさかのぼります。

1914年（大正3年）4月26日：旧阪堺電気軌道の平野支線として今池駅と平野駅の間が開業したのに合わせて、この停留場も開設されました。
1980年（昭和55年）11月28日：南海電気鉄道平野線の廃止に伴い、その役割を終え、廃止されました。

駅名の由来

停留場名は、近隣にある「桃ヶ池」に由来しています。この池の名前自体、古い時代には「股が池」と表記されていたと伝えられています。それが昭和の初め頃から、現在の「桃ヶ池」という漢字表記が一般的になったと言われています。大正期に開業した股ヶ池停留場は、池の名前が変わった後も、その古い表記である「股が池」をそのまま駅名として使い続ける形となりました。

隣の停留場（廃止時点）

南海電気鉄道 ■平野線

文ノ里停留場 - 股ヶ池停留場 - 田辺停留場

この停留場は、短いながらもその構造や駅名の由来に、地域の歴史と鉄道の変遷が刻まれた存在でした。

もう一度検索