田辺停留場

田辺停留場

かつて大阪府大阪市東住吉区田辺に存在した、南海電気鉄道平野線の駅（電停）です。地域の人々に利用されていましたが、路線の廃止に伴いその歴史に幕を下ろしました。

概要

田辺停留場は、現在のOsaka Metro谷町線田辺駅から南東へおよそ200メートルほど離れた場所、東住吉区の田辺5丁目と6丁目の境目に近い位置に設けられていました。

この停留場は、近鉄南大阪線の今川駅方面から伸びる活気ある商店街と、南海平野線の線路が交差する地点に位置しており、駅のすぐ脇には踏切がありました。ホームは踏切を挟んで互い違いに配置される千鳥式を採用しており、下り線の平野方面行ホームは田辺5丁目側に、上り線の今池方面行ホームは田辺6丁目側（厳密には田辺2丁目など、3つの丁目が接する地点）に設置されていました。

施設面では、当時としては珍しく2両編成の列車に対応できる長いホームと、その一部に1両分の上屋を備えていました。また、平野線の中間駅としては数少ない渡り線も設置されていた点が特徴です。これは、当停留場を始発または終着とする列車が設定されていたことと関係があると考えられています。

時代の流れとともに、駅周辺では阪神高速道路の建設工事が始まりました。これに伴い、今池方面の上りホームは元の形状を残しつつも長さが削られ、1両分に短縮されました。一方、平野方面の下りホームは営業廃止まで2両分の長さを保っていました。かつて存在した渡り線も、後年にはほとんど使われることがなくなり、非常時に利用される程度だったといわれています。南海電鉄の恵美須町駅にかつて設置されていた行灯式の行先案内表示灯には、あまり使われることのなかった「天神ノ森」行きとともに、「田辺」行きの表示も存在していたことからも、当停留場がある程度の拠点性を有していたことが伺えます。

現在の様子と遺構

停留場があった場所を含む線路やホームの跡地は、現在では阪神高速14号松原線の側道として整備・利用されています。このため、当時の鉄道関連の構造物や遺構はほとんど見られなくなっています。しかし、かつての下りホームの脇にあった喫茶店や大衆食堂は、当時の面影を残したまま現在も営業を続けており、往時の雰囲気をわずかに感じることができます。また、上りホームがあった場所の向かい側の地面には、南海電鉄が設置した境界を示す杭がそのまま残っています。

阪神高速14号松原線の高架下を走る東側の側道は、南海平野線の線路が通っていたルートをほぼ正確になぞる形で整備されています。この田辺停留場跡地だけでなく、平野線の廃線跡沿いを注意深く観察しながら歩くと、他にもいくつかの南海電鉄の境界杭が残されているのを見つけることができます。

歴史

1914年（大正3年）4月26日：阪堺電気軌道（旧）平野支線の今池駅から平野駅までの区間が開業した際に、その中間駅として開設されました。
1980年（昭和55年）11月28日：南海平野線の廃止に伴い、停留場も廃止されました。

構造

千鳥式のホームが2面、線路が2線の地上駅でした。

のりば

詳細は不明ですが、千鳥式ホームで平野方面と今池方面に分かれていました。

隣の停留場

南海電気鉄道 平野線

股ヶ池停留場 - 田辺停留場 - 駒川町停留場

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