背徳の掟
ヘヴィメタル界の重鎮、ジューダス・プリーストが1984年に世に送り出した『背徳の掟』は、バンドにとって通算9枚目のスタジオ録音盤です。原題は『Defenders of the Faith』であり、アルバムタイトルの他に、終盤に収録された楽曲のタイトルとしてもこの名が冠されています。
本作の録音は、主に風光明媚なイビサ島で行われ、その後、音源はマイアミへと送られ、ミキシング作業が施されました。アルバムの顔となるジャケットのデザインは、前作『復讐の叫び』に引き続き、アーティストのダグ・ジョンソンが手掛けています。ジャケットに描かれているのは、威圧感のある機械仕掛けの獣で、「メタリアン」と名付けられました。このメタリアンは、当時のツアーにおけるステージセットの重要な要素としても登場し、視覚的にも強いインパクトを与えました。アルバムの裏面には、「信念を堅持する者のみがメタリアンの怒りから免れることができる」という意味深なメッセージが記されており、作品の世界観をより深く印象づけています。
本作に収められている楽曲の中でも、「ヘヴィ・デューティ」と「神への誓い」は特別な構成を持っています。これら二つの曲はシームレスにつながっており、ライブ演奏でも連続して披露されることが多かったです。商業的な成功も収めており、バンドの本国イギリスでは、アルバムがナショナルチャートで19位に到達しました。シングルカットされた楽曲では、「フリーホイール・バーニング」が42位、「叛旗の下に」が97位を記録しています。特にアメリカ合衆国では、ビルボード200チャートで最高18位にランクインし、前作に続いて2作連続でトップ20入りを果たすなど、その人気の高さを証明しました。
『背徳の掟』は、その音楽性だけでなく、歌詞の内容によって社会的な議論の的ともなりました。特に、ティッパー・ゴアらが設立した音楽コンテンツの自主規制を求める団体、PMRC（Parents Music Resource Center）は、収録曲「イート・ミー・アライヴ」の歌詞を問題視しました。PMRCは、この曲をプリンスやトゥイステッド・シスターの楽曲などと共に、物議を醸す「汚らしい15曲（Filthy Fifteen）」の一つとして挙げ、レコード会社に対して歌詞の規制を要求しました。バンド側はこのような動きに強く反発し、次作となる1986年のアルバム『ターボ』では、親による若者への抑圧をテーマにした楽曲「ペアレンタル・ガイダンス」を発表することで、彼らのスタンスを明確にしました。
2001年にリリースされた本作のデジタルリマスターCDは、初回プレス分においてミキシング上のエラーがありました。ギタリストであるグレン・ティプトンとK. K. ダウニングのパートが左右逆に収録されていたのです。日本国内では、発売元であるソニーミュージックがこの問題を認識し、希望者に対して修正された盤との交換対応を行いました。
さらに、オリジナル盤の発売から30周年を迎えた2015年には、『背徳の掟 -30thアニバーサリー・エディション-』と銘打たれた特別記念盤が、3枚組CDの完全生産限定盤としてリリースされました。日本盤は、全世界に先駆けて同年3月4日に発売されました。これは、ジューダス・プリーストが母国以外で比較的早期に大きな成功を収めた国の一つが日本であることから、「日本のファンのためだけに」というバンド側の特別な意向が反映されたものです。同年3月7日から予定されていた日本公演に間に合わせる形で、この先行発売が決定されました。
この記念盤のCD1には、オリジナルの楽曲がトム・アロム（オリジナル盤のプロデューサー）によってリマスタリングされた音源で収められており、2001年盤にあったボーナストラックは含まれていません。CD2とCD3には、本作に伴う1984年の「DURING THE DEFENDERS OF THE FAITH」ツアーから、同年5月5日にアメリカのカリフォルニア州ロングビーチ・アリーナで行われたライブ公演の模様が完全収録されています。
オリジナル盤には以下の10曲が収録されています（特記なき限り、R. ハルフォード、K. K. ダウニング、G. ティプトンの共作）。
1. フリーホイール・バーニング (Freewheel Burning)
2. ジョウブレイカー (Jawbreaker)
3. 鋼鉄の魂 (Rock Hard Ride Free)
4. 死の番人 (The Sentinel)
5. 誘惑の牙 (Love Bites)
6. イート・ミー・アライヴ (Eat Me Alive)
7. 叛旗の下に (Some Heads Are Gonna Roll) (作詞・作曲: Bob Halligan, Jr)
8. 夜が来たりて (Night Comes Down)
9. ヘヴィ・デューティ (Heavy Duty)
10. 神への誓い (Defenders of the Faith)
2001年リマスター盤には、上記に加えて以下のボーナス・トラックが収録されました。
11. ターン・オン・ユア・ライト (Turn on Your Light) (作詞・作曲: R. Halford, G. Tipton)
12. ヘヴィ・デューティ/神への誓い (ライヴ) (Heavy Duty/Defenders of the Faith - Live)
30thアニバーサリー・エディションのライブCD（CD2, CD3）には、ロングビーチ公演のセットリストが収録されています。（収録曲の詳細は割愛しますが、本公演の完全版です。）
本作の収録曲は、他のアーティストによってもカバーされています。
本作のレコーディングには、以下のメンバーが参加しました。
制作背景とビジュアル
本作の録音は、主に風光明媚なイビサ島で行われ、その後、音源はマイアミへと送られ、ミキシング作業が施されました。アルバムの顔となるジャケットのデザインは、前作『復讐の叫び』に引き続き、アーティストのダグ・ジョンソンが手掛けています。ジャケットに描かれているのは、威圧感のある機械仕掛けの獣で、「メタリアン」と名付けられました。このメタリアンは、当時のツアーにおけるステージセットの重要な要素としても登場し、視覚的にも強いインパクトを与えました。アルバムの裏面には、「信念を堅持する者のみがメタリアンの怒りから免れることができる」という意味深なメッセージが記されており、作品の世界観をより深く印象づけています。
楽曲の特徴とチャート動向
本作に収められている楽曲の中でも、「ヘヴィ・デューティ」と「神への誓い」は特別な構成を持っています。これら二つの曲はシームレスにつながっており、ライブ演奏でも連続して披露されることが多かったです。商業的な成功も収めており、バンドの本国イギリスでは、アルバムがナショナルチャートで19位に到達しました。シングルカットされた楽曲では、「フリーホイール・バーニング」が42位、「叛旗の下に」が97位を記録しています。特にアメリカ合衆国では、ビルボード200チャートで最高18位にランクインし、前作に続いて2作連続でトップ20入りを果たすなど、その人気の高さを証明しました。
社会からの反応
『背徳の掟』は、その音楽性だけでなく、歌詞の内容によって社会的な議論の的ともなりました。特に、ティッパー・ゴアらが設立した音楽コンテンツの自主規制を求める団体、PMRC（Parents Music Resource Center）は、収録曲「イート・ミー・アライヴ」の歌詞を問題視しました。PMRCは、この曲をプリンスやトゥイステッド・シスターの楽曲などと共に、物議を醸す「汚らしい15曲（Filthy Fifteen）」の一つとして挙げ、レコード会社に対して歌詞の規制を要求しました。バンド側はこのような動きに強く反発し、次作となる1986年のアルバム『ターボ』では、親による若者への抑圧をテーマにした楽曲「ペアレンタル・ガイダンス」を発表することで、彼らのスタンスを明確にしました。
リマスターと記念盤
2001年にリリースされた本作のデジタルリマスターCDは、初回プレス分においてミキシング上のエラーがありました。ギタリストであるグレン・ティプトンとK. K. ダウニングのパートが左右逆に収録されていたのです。日本国内では、発売元であるソニーミュージックがこの問題を認識し、希望者に対して修正された盤との交換対応を行いました。
さらに、オリジナル盤の発売から30周年を迎えた2015年には、『背徳の掟 -30thアニバーサリー・エディション-』と銘打たれた特別記念盤が、3枚組CDの完全生産限定盤としてリリースされました。日本盤は、全世界に先駆けて同年3月4日に発売されました。これは、ジューダス・プリーストが母国以外で比較的早期に大きな成功を収めた国の一つが日本であることから、「日本のファンのためだけに」というバンド側の特別な意向が反映されたものです。同年3月7日から予定されていた日本公演に間に合わせる形で、この先行発売が決定されました。
この記念盤のCD1には、オリジナルの楽曲がトム・アロム（オリジナル盤のプロデューサー）によってリマスタリングされた音源で収められており、2001年盤にあったボーナストラックは含まれていません。CD2とCD3には、本作に伴う1984年の「DURING THE DEFENDERS OF THE FAITH」ツアーから、同年5月5日にアメリカのカリフォルニア州ロングビーチ・アリーナで行われたライブ公演の模様が完全収録されています。
収録曲
オリジナル盤には以下の10曲が収録されています（特記なき限り、R. ハルフォード、K. K. ダウニング、G. ティプトンの共作）。
1. フリーホイール・バーニング (Freewheel Burning)
2. ジョウブレイカー (Jawbreaker)
3. 鋼鉄の魂 (Rock Hard Ride Free)
4. 死の番人 (The Sentinel)
5. 誘惑の牙 (Love Bites)
6. イート・ミー・アライヴ (Eat Me Alive)
7. 叛旗の下に (Some Heads Are Gonna Roll) (作詞・作曲: Bob Halligan, Jr)
8. 夜が来たりて (Night Comes Down)
9. ヘヴィ・デューティ (Heavy Duty)
10. 神への誓い (Defenders of the Faith)
2001年リマスター盤には、上記に加えて以下のボーナス・トラックが収録されました。
11. ターン・オン・ユア・ライト (Turn on Your Light) (作詞・作曲: R. Halford, G. Tipton)
12. ヘヴィ・デューティ/神への誓い (ライヴ) (Heavy Duty/Defenders of the Faith - Live)
30thアニバーサリー・エディションのライブCD（CD2, CD3）には、ロングビーチ公演のセットリストが収録されています。（収録曲の詳細は割愛しますが、本公演の完全版です。）
カバーされた楽曲
本作の収録曲は、他のアーティストによってもカバーされています。
- - 「フリーホイール・バーニング」は、FOZZY（クリス・ジェリコが参加するバンド）のアルバム『ハプンスタンス』（2002年）に収録されています。
- - 「ジョーブレイカー」は、レイジのEP「Higher Than the Sky」（1997年）でカバーされました。
- - 「死の番人」は、マシーン・ヘッドがアルバム「unto the locust」（2011年）で取り上げています。
参加メンバー
本作のレコーディングには、以下のメンバーが参加しました。
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