背泳ぎ

背泳ぎの概要

背泳ぎ（せおよぎ、英: backstroke）は、水泳の技法の一つで、選手が仰向けの姿勢で泳ぐスタイルです。この泳法は競技規則において「背泳ぎ」と正式に呼ばれる一方で、愛好者の間では「バック」という略称が広く使われています。

歴史

背泳ぎの歴史的な起源は明確ではありませんが、古代エジプトのラムセス2世の廟のレリーフに、兵士が背泳ぎのような姿勢で水中で活動する様子が描かれています。文献としては、16世紀初頭に書かれた「コリュンペテス」が背泳ぎについて詳細に述べた最初の資料とされています。競泳ルールにおいて背泳ぎは、1900年のパリオリンピックから正式な種目として採用されるようになりました。当初は、平泳ぎと同様の動作で泳がれていましたが、時間と共に改良され、現在の泳法が確立されました。

競技ルール

背泳ぎのスタートは、他の泳法とは異なり、水中で行われます。選手は水に浸かった状態で位置につき、審判の指示に従ってスタートします。スタート時には、選手の足が水面に出ないよう注意を払っていましたが、2006年にルール変更があり、指先は水面から出ても良くなりました。

スタート合図を受けた後、選手は壁に体を引きつけて構え、その場で静止している必要があります。もし静止しなかった場合、失格となります。号砲後、水面から飛び出し、15メートル以内に頭を水面に出さなければなりません。この距離を超えると失格となります。選手は、ターン時を除いて常に仰向けで泳がなければなりません。

さらに、バックストロークレッジと呼ばれる特殊な板が用いられ、スタート時の足滑りを防止しています。ターンにおいては、選手の身体が壁に一部でも触れる必要があります。ターン後は、体が完全に仰向けに戻り、その姿勢を維持することが求められます。

バック泳法には、特にバサロ泳法（潜水泳法）という技術が存在します。これは、スタート時から15メートルまで潜水して泳ぐスタイルで、特に1980年代にこの技術が議論を引き起こし、その後のルール改正につながりました。1988年のソウルオリンピックで鈴木大地選手が金メダルを獲得したことがその規定に影響を与えました。現行のルールではバサロ泳法の距離は15メートルに緩和されています。

背泳ぎのサバイバル術

背泳ぎは、進行方向を確認しづらく、スピードが比較的遅いという欠点がありますが、水面で顔を上げて泳げるため、初心者でも比較的扱いやすい泳法です。特に遭難者の救助時には、自己の呼吸を確保しつつ、周囲の状況を見ながら泳ぎ続けられるため、実用的な技術とされています。救命道具を着用している場合には、うつ伏せで泳ぐことが難しいため、背泳ぎが自然と選択されることになります。

歴代の日本人金メダリスト

背泳ぎの競技において、日本からも多くの金メダリストが輩出されています。男子では、1932年のロサンゼルスオリンピックで清川正二選手が100メートルで、1988年のソウルオリンピックで鈴木大地選手が同じく100メートルで金メダルを獲得しました。これらの選手たちは、国内外で背泳ぎを代表する有名な顔となっています。日本の背泳ぎ選手の中には、入江陵介や古賀淳也など、世界記録保持者やアジア記録保持者も多く存在しています。

まとめ

背泳ぎは、歴史とルール、さらには実用性と競技性を兼ね備えた泳法です。精密なテクニックを必要とする一方で、初心者にも適した訓練法としても利用されています。競技の中で積み重ねられた進化やルールの変遷は、今後も背泳ぎの発展に寄与していくことでしょう。

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