胡麻手台16号墳

胡麻手台16号墳について

千葉県山武市戸田に所在する胡麻手台16号墳は、九十九里平野を流れる作田川の支流、境川の東岸に位置する古墳群の一つです。この地域には、埴谷古墳群、諸木内古墳群、根崎古墳群、麻生新田古墳群、真行寺古墳群など、多くの古墳群が集中しており、胡麻手台古墳群もその中に含まれます。

胡麻手台16号墳は、古墳群の中でも中心的な役割を担っていたと考えられる前方後円墳です。1994年（平成6年）に千葉県文化財センターによって発掘調査が行われ、その構造や出土品から、古墳時代後期の様相を解明する上で重要な発見がありました。

墳丘の構造

調査の結果、胡麻手台16号墳の墳丘は全長86メートルに及ぶ規模であることが判明しました。後円部の直径は43メートル、高さは7.8メートル、前方部の幅は49メートル、高さは5.7メートルです。墳丘の周囲には二重の周溝が確認され、これは古墳が築かれた当時の地形や構造を理解する上で重要な要素です。

横穴式石室

墳丘の裾部の西側には、横穴式石室が設けられていましたが、耕作の影響により上部の大部分が破壊されていました。しかし、残存部分の調査から、石室は前室と後室に分かれた複式構造であることが判明しました。石室の全長は約7メートル、後室の長さは約2メートル、幅は約0.6メートルと推定されています。この石室の構造は、当時の埋葬様式を知る上で貴重な情報を提供します。

出土品

石室の近くの周溝からは、本来石室内に副葬されていたと考えられる遺物が検出されました。主な出土品には、金銅製の鞖金具（1）、直刀（1）、鉸具（1）、鉄鏃などがあります。これらの遺物は、古墳の被葬者の身分や権力を示すとともに、当時の技術や文化を反映するものです。しかし、棺釘や鉄鏃は、埴輪が用いられなくなった時期のものよりも新しく、須恵器も含めて古墳の築造時期が比較的後世である可能性を示唆しています。

古墳の時代

胡麻手台16号墳の特徴として、「相似形二重周溝」が挙げられます。これは、幅が狭く一定の幅で全周する周溝であり、比較的新しい形状とされています。この点から、印旛郡栄町の浅間山古墳などと同様に、胡麻手台16号墳は古墳時代における最終段階に築造された前方後円墳の一つと考えられています。

まとめ

胡麻手台16号墳は、千葉県山武市における古墳時代後期の様相を解明する上で、非常に重要な遺跡です。墳丘の規模、横穴式石室の構造、出土品などから、当時の社会や文化、埋葬様式に関する貴重な情報を提供してくれます。今後も、この古墳に関する研究が進むことで、古墳時代に関する私たちの理解がさらに深まることが期待されます。

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