能代火力発電所

能代火力発電所について

能代火力発電所は、秋田県能代市に位置する東北電力の主要な火力発電所です。この発電所は、オイルショック後の石油代替エネルギー政策の一環として建設されました。現在では、3基の発電設備が稼働しており、地域の電力需要を支える重要な役割を担っています。

発電所の概要

能代火力発電所は、1993年5月に1号機が運転を開始して以来、順次増設が行われ、現在は3基体制となっています。発電所では、石炭を主な燃料としていますが、地球温暖化対策の一環として、木質バイオマスの混焼も行っています。

2号機では、発電効率を向上させるために、東北電力初となる超々臨界圧ボイラーと蒸気タービンが採用されています。この技術により、主蒸気温度566℃、再熱蒸気温度593℃、主蒸気圧力24.1MPaという高温高圧の蒸気を利用した発電が可能となりました。

3号機の建設は、当初、電力需要の変動や二酸化炭素削減の規制動向を見通すことが困難であるとして、計画が凍結されていました。しかし、東日本大震災後の電力安定供給の必要性や発電コスト削減の観点から計画が再開され、2020年3月に営業運転を開始しました。

発電設備の詳細

発電所の総出力は180万kWであり、総面積は約109万m2です。各発電設備の詳細は以下の通りです。

1号機
定格出力：60万kW
使用燃料：石炭、木質バイオマス
蒸気条件：超臨界圧 (Super Critical)
熱効率：約45%（低位発熱量基準）
営業運転開始：1993年5月
2号機
定格出力：60万kW
使用燃料：石炭、木質バイオマス
蒸気条件：超々臨界圧 (Ultra Super Critical)
熱効率：約45%（低位発熱量基準）
営業運転開始：1994年12月
3号機
定格出力：60万kW
使用燃料：石炭、木質バイオマス
蒸気条件：超々臨界圧 (USC)
熱効率：約46%（低位発熱量基準）
運転開始（試運転）：2019年8月1日
営業運転開始：2020年3月2日

東日本大震災の影響

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、能代火力発電所も全機が自動停止しました。また、4月7日の余震でも同様に全機が停止しました。これらの出来事は、自然災害に対する電力インフラの脆弱性を示すものでした。

蓄電設備設置計画の中止

地震と津波により複数の発電所が被害を受けたため、電力供給能力を強化する目的で、ナトリウム・硫黄電池を利用した8万kWの蓄電設備を設置する計画がありました。しかし、同型の電池が東京電力で火災を起こしたため、安全性の確認を理由に工事が中断され、最終的に計画は中止となりました。この火災事故は、電池モジュール内の不良が原因で発生し、複数の電池が連鎖的に破壊されたことが原因とされています。

能代エナジアムパーク

能代火力発電所内には、一般向けのPR施設「能代エナジアムパーク」があります。この施設では、エネルギーとの共生をテーマとした展示や、熱帯植物園が併設されています。熱帯植物園では、460種3,300本の植物が育成されており、来場者は様々な植物を観察することができます。また、隣接する施設には、能代ねぶながし館やスポーツ広場などがあり、地域住民の憩いの場として利用されています。

各施設詳細

サザンドームのしろ: エネルギー学習コーナーや電力に関する展示があります。
熱帯植物園: 460種3,300本の植物を育成するドーム状の植物園です。
ねぶながし館: 能代役七夕の燈篭や能代べらぼう凧が展示されています。
冒険広場: 噴水や遊具が設置されており、子供たちが遊べる空間です。
スポーツ広場: テニスコートや多目的広場があります。
カルチャーホール: イベントなどで利用される展示場です。
はまなす館: 休憩スペースと自動販売機が設置されています。

能代火力発電所は、単なる発電施設としてだけでなく、地域社会との繋がりを重視した施設運営を行っています。

関連項目

東北電力
日本の[[火力発電所一覧]]
火力発電
汽力発電

外部リンク

東北電力
能代エナジアムパーク

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