能見俊賢

能見 俊賢

能見 俊賢（のみ としたか、1948年10月19日 - 2006年9月27日）は、東京都を出身地とする日本の著作家です。特に、ABO式血液型と人間の性格や行動との関連性に関する研究成果をまとめた著作で広く知られ、代表的な著書に『血液型人間学』があります。その活動は、血液型による性格分類を日本社会に浸透させた能見正比古氏（父）の業績を継承・発展させたものとして位置づけられます。血液型はA型でした。

経歴と文筆活動への道程

俊賢氏は、1971年に日本大学文理学部史学科を卒業しました。大学での学びを経て、当初は産経新聞社に勤務するなど、ジャーナリズムの世界でキャリアをスタートさせます。しかし、やがて父・正比古氏が進めていた血液型と人間性の関連に関する独自の研究活動に深い関心を抱き、これを本格的に引き継ぐことを決意します。新聞社での勤務経験などを経て、文筆活動に専念するようになり、父が集大成したデータや研究成果を基礎とした著作活動を展開していきました。この転身は、父が長年にわたり培ってきた独自の「血液型人間科学」とも呼べる分野を次世代へ継承するための重要な一歩でした。

血液型研究の継承と多角的な活動

父・正比古氏が確立した血液型性格判断の枠組みを引き継いだ俊賢氏は、ABO式血液型と個人の性格傾向、行動パターン、人間関係などに関する多数の書籍を精力的に執筆・発表しました。これらの著作は、父の代から蓄積された膨大なデータを分析し、独自の視点を加えて再構成したものです。彼は単に著作を刊行するにとどまらず、父と同様に、血液型をテーマにした様々な媒体や商品に対して監修を行うなど、その知識を広く社会に提供しました。また、血液型人間科学の研究と普及を目的とする「NPO 血液型人間科学研究センター」の運営にも深く関与し、組織的な活動を通じてこの分野への理解促進に努めました。これらの多角的な活動を通じて、血液型性格判断はさらに多くの人々に知られるようになり、日常生活におけるコミュニケーションや自己理解の一助として、良くも悪くも大きな影響力を持つようになりました。

「血液型性格判断」に対する学術的評価と社会的影響

能見氏の一連の著作や活動によって広く知られることとなった血液型性格判断ですが、現代の心理学や医学といった学術分野においては、科学的な妥当性を示す確固たる根拠は確認されていません。多くの追試研究が行われたものの、血液型と性格・行動との間に統計的に有意な関連性を見いだすことはできていないのが現状です。そのため、学術的な裏付けがない通俗的な知識として扱われることが一般的です。さらに、血液型による安易な人間分類は、個人の多様性や複雑さを無視し、特定の血液型に対する固定観念やステレオタイプを生み出す可能性があります。これにより、職場や学校など様々な人間関係において、不当な差別や偏見を招く危険性が一部で指摘されています。能見氏の活動は、こうした科学的な評価と社会的な懸念が常に併存するテーマに関わるものでした。

晩年

能見俊賢氏は、2006年9月27日午前2時2分、脳出血のため惜しくもこの世を去りました。享年57歳でした。その死により、血液型人間科学の分野における中心的な担い手の一人を失うこととなりました。

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