脇太一

脇太一（わき たいち）は、1900年に生まれ、1969年に亡くなった日本の教育者であり、作詞家としても知られる人物です。
出身地は、現在の香川県綾川町にある羽床です。

教育者を志し、1924年（大正13年）には東京高等師範学校を卒業しています。卒業から数年後、28歳頃にはかつての恩師の誘いを受け、当時日本の統治下にあった中国の大連に渡りました。大連では教職に就きながら、文学活動にも情熱を注ぎました。俳句、短歌、詩、小説、脚本といった多岐にわたるジャンルで創作を行いました。

終戦を迎え日本へ引き揚げた後も、教育者としての歩みを続けます。1947年（昭和22年）、香川県坂出市にあった林田中学校（現在の坂出市立白峰中学校）の校長に就任し、学校教育に貢献しました。

脇太一の名前が作詞家として広く知れ渡ったのは、1951年（昭和26年）のことです。NHKが新たな「ラジオ体操の歌」の歌詞を公募した際、脇氏の作品が1万1,000点以上の中から最優秀に選ばれました。この歌は、現在一般的に知られている「ラジオ体操の歌」（作詞：藤浦洸）とは異なる、2代目の楽曲として採用されました。

「ラジオ体操の歌」のヒットにより、脇太一は作詞家として全国的に脚光を浴びることとなりました。これを機に、日本各地の小学校、中学校、高等学校をはじめとする様々な教育機関から、校歌などの作詞依頼が多数舞い込むようになります。

彼が手がけた作品は多岐にわたります。中でも有名なのは前述の「ラジオ体操の歌」（2代目）ですが、それ以外にも数多くの学校歌を残しています。故郷である香川県内だけでなく、日本全国各地の学校で彼の紡いだ言葉が歌われています。

具体的には、香川県内の綾川町立羽床小学校、高松市立栗林小学校、観音寺市立観音寺第一高等学校などの小中学校、高等学校の校歌があります。また県外では、東京都葛飾区立鎌倉小学校、福岡県福岡市立城南中学校、高知工業高等専門学校など、多岐にわたる地域の学校歌を手がけています。

学校歌以外にも、地域に根差した歌も手がけています。長崎県の県民音頭、岡山県のスポーツの歌、大分県津久見市の市歌などがその例です。

脇太一は、教育者としての実績に加え、「ラジオ体操の歌」の作詞家として名を馳せ、日本各地の学校や地域に多くの歌を残しました。彼の言葉は、今もなお多くの人々に親しまれています。

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