脊髄磁場計測装置

脊髄磁場計測装置（脊磁計・脊磁図）について

脊髄磁場計測装置、通称脊磁計は、脊髄の電気的活動により生じる微弱な磁場を、高感度な磁気センサーを用いて計測し、可視化するための革新的な技術です。従来の脊髄障害検査では、レントゲンやCT、MRIなどの画像診断が主流であり、形態的な情報を提供しますが、機能的な評価は限界があります。つまり、画像診断による評価は、必ずしも実際の脊髄活動状態を反映しないことがあります。

そこで、脊髄の電気的活動に対するより正確な評価が求められていました。従来は、脊柱管内に電極を挿入して電気信号を取得するという侵襲的手法が行われていましたが、これにはリスクや患者の負担が伴います。これに対して、非侵襲的な脊磁計が必要とされるようになったのです。

脊磁計は、これまで脳の電気的活動を測定するために使用されていた脳磁図の技術を応用しています。脳磁図は、超伝導量子干渉素子（SQUID）を利用して、脳内で発生する磁場を検出するもので、より広範囲にわたる神経活動を捕捉できます。脊磁計では、その原理を基に、脊髄の神経信号を無侵襲で測定することが可能となります。

脊髄から生じる磁場は、脳のそれに比べておよそ10分の1の強度しかなく、地磁気のさらに100億分の1程度という非常に微弱なものです。このため、脊髄磁場を正確に捉えるためには、先進的な技術が必要です。脊磁計は、SQUIDを利用してデータを取得し、そのデータに対して空間フィルター法という信号処理技術を適用することにより、脊髄の神経活動を画像情報として視覚化することができます。

また、神経系の病気はしばしば発症場所と症状が一致しないため、痛みや痺れ、麻痺が発生している部位に必ずしも病変が存在するわけではありません。このため、脊磁計の開発は、神経系における病変の位置をより正確に特定し、診断を支援することを目指しています。

この脊髄磁場計測装置は、リコー、東京医科歯科大学、金沢工業大学先端電子技術応用研究所、首都大学東京および横河電機との共同開発により実現しました。これにより、より多くの患者に対する精密診断が期待されています。

結論

脊髄磁場計測装置は、非侵襲的に脊髄の機能を評価できる画期的な技術であり、神経系疾患の診断に大きな影響をもたらす可能性があります。この技術が普及することで、患者の負担を軽減しつつ、より正確な診断が行える未来が待ち望まれています。

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