脚絆

脚絆（きゃはん）についての詳細

脚絆（きゃはん）、または脚半とは、主に脛に巻く布または革で作られた防護具を指します。人間の動作において脛は重要な位置を占め、この部分を適切に保護することは、行動における安全と快適さの確保に直結します。特に長時間の行動時には、脚絆が裾を抑える働きも果たし、障害物に引っかかるリスクを減少させるのです。

歴史を振り返ると、江戸時代から日本全国で使用されてきた脚絆は、その起源を遡ると脛巾（はばき）、すなわちそれ以前の武士や庶民にまで及びます。現代でも、脚絆は特定の職場や作業環境において、足首や甲部の怪我を防ぐために着用が義務付けられることがあるため、依然として重要な役割を果たしています。

日本の伝統型脚絆

日本にはいくつかのスタイルの脚絆が存在しています。以下に代表的なものを挙げます。

• - 大津脚絆: 上下に結び紐が付いているタイプ。
• - 江戸脚絆: 上部に紐、背部にはコハゼが付いているデザイン。
• - 筒型脚絆: 円筒形に縫われ、上部に紐があるスタイル。

西洋型脚絆

西洋では、レギンススタイルの脚絆が一般的です。これは長い布または革を用い、バックルやボタンなどで固定する形態をとります。古くは、軍隊でも広く使用されていましたが、戦後の靴の進化によりその姿は変化しました。これに対して、足の甲を保護する短いレギンスも「短ゲートル」として使用されています。

イギリスやアメリカの軍隊では、戦間期にレギンス型が多く採用され、イギリス式は足首部分だけを巻く短い形状、アメリカ式は膝下から足甲にかけてをカバーする設計でした。しかし、アメリカ式は着脱に手間がかかるという難点も持っていました。これに対して、日本の陸軍では日露戦争から第二次大戦までの期間、レギンス型の脚絆が多用されました。

巻脚絆（巻きゲートル）

巻脚絆は、19世紀末から使用され始めた細い布を巻いて作るタイプの脚絆です。この形態は第一次世界大戦をピークに広まりましたが、第二次大戦後にはあまり使用されなくなっていきました。巻き方にはいくつかのスタイルがあり、「戦闘巻」と称される方法は特に人気がありました。しかし、着脱が難しく、湿度が高い環境では害虫が発生しやすい欠点もあります。

日本の陸軍では、日露戦争期から採用され、特に現場での多様性のある被服として重宝されました。このように脚絆は、さまざまな職業や文化において重要な役割を果たし続けていると言えます。

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