脱脂粉乳

脱脂粉とは



脱脂粉とは、牛から脂肪分をほぼ完全に取り除き、水分を蒸発させて粉末状にしたものです。一般的には「スキムミルク」とも呼ばれますが、英語の「skim milk」は、脱脂粉にする前の無脂肪を指すため、厳密には区別されます。

用途



脱脂粉は、その特性から多様な用途で利用されています。

食品原料: 調整の成分調整や、各種食品の原料として使用されます。特に、製品の風味を損なわずにタンパク質を強化したい場合に重宝されます。
製菓・ホームベーカリー: パンや菓子作りの材料として、生地の風味や食感を向上させる目的で使用されます。メロンパンやマフィンなど、様々な焼き菓子に使われています。
家庭用調理: 一般家庭でも、牛の代わりや料理のコクを出す目的で利用されています。
分子生物学実験: タンパク質を扱う実験(ELISAやウェスタンブロッティングなど)において、ブロッキング剤として広く用いられています。安価でタンパク質が豊富であるため、実験コストを抑えるのに役立ちます。


製造



2015年には、日本国内で約13万トンの脱脂粉が製造されました。そのうち約9割が北海道産です。北海道は、製品の生産が盛んな地域として知られています。

学校給食での利用



脱脂粉は、保存性が高く、タンパク質カルシウム糖などの栄養素が豊富に含まれているため、戦後の食糧難の時代には、学校給食で牛の代替品として提供されました。特に、ユニセフからの援助物資として、多くの脱脂粉が日本の子供たちに届けられました。

ララ物資


アメリカの市民団体が、日本の子供たちのために行った食糧援助活動であるララ物資は、1946年から1952年まで実施されました。この援助により、大量の脱脂粉が日本に供給され、学校給食を支えました。

ユニセフの援助


ユニセフもまた、1949年から1964年にかけて、脱脂粉を含む食糧援助を日本に行いました。これらの援助は、戦後の日本の食糧事情を大きく改善するのに貢献しました。

給食での変遷


1950年代半ばからは、学校給食で通常の牛への切り替えが進みましたが、地域によっては1970年代前半まで脱脂粉が提供されていました。しかし、現在でも学校給食用脱脂粉の消費は続いており、パンの原料やシチューなどの調理用として活用されています。

現在の学校給食



現在、学校給食での脱脂粉の利用は、飲用としてはほとんどありませんが、パンの材料や調理用として使われています。関税暫定措置法に基づく関税割当の中にも学校給食用脱脂粉があり、2020年度には7,264トンが対象となっています。学校給食だけでなく、保育所などの給食事業でも利用されています。


関連事項



クリーミングパウダー: コーヒーなどに使用される製品。
雪印八雲工場脱脂粉食中毒事件: 過去に発生した食中毒事件。
ララ物資: 戦後に行われた食糧援助活動。
アイスクリン: 脱脂粉を原料とした冷菓。

外部リンク



『脱脂粉』 - コトバンク
脱脂粉とはどういうものですか? - 日本業協会


脱脂粉は、その汎用性の高さから、様々な場面で利用されています。特に学校給食においては、戦後の食糧難の時代から現代に至るまで、日本の食生活を支える重要な役割を果たしてきました。

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