膝折宿

膝折宿（ひざおりじゅく）の歴史

膝折宿とは、埼玉県朝霞市膝折町に位置していた宿場を指します。この場所はかつて川越街道、具体的には川越児玉往還にあたる地域としても知られ、美しい風景とともに歴史的な意義を持っていました。膝折の名称は、伝説によれば、賊に襲われた小栗助重が「鬼鹿毛」という名の馬で逃げてきた際に、その馬が膝を折り死亡した事に由来しています。このように、歴史にまつわる逸話が多く残る場所でもあります。

室町時代からの宿駅

膝折宿は室町時代には既に宿駅としての機能を果たしており、周辺の商人たちが集まる市が形成されていました。特に近世に入ると、川越街道上で4番目の宿場として認知され、平林寺や仙波東照宮を訪れる参拝客たちによって賑わいを見せました。また、川越藩の参勤交代の際にも重要な役割を果たしました。

当宿場は白子宿や大和田宿から約33町の距離に位置し、江戸時代には本陣や脇本陣が設けられていました。1660年の万治3年の検地帳によると、本陣・脇本陣を中心に、39軒の商家が存在したことが記録されています。この中には、脇本陣として知られる村田屋が現在も残っており、その歴史を今に伝えています。また、本陣があった場所は現在の膝折郵便局になっています。

地名の変遷と周辺環境

1932年までは自治体としての膝折村が存在し、その後、町制施行に伴い朝霞町に改称され、1967年には市制が施行されました。このように、膝折宿は地域の発展に伴い、変遷を遂げてきました。また、川越街道沿いには「脚折」という地名が存在し、現在も鶴ヶ島市に残っていますが、膝折宿とは異なり、川越街道や川越児玉往還を通過することはありません。

隣接する宿場

膝折宿の隣には白子宿と大和田宿が位置しており、川越・児玉往還における重要な交通の要所として機能していました。『江戸名所図会』によれば、野火止が膝折宿と大和田宿の間に位置する宿であったとされています。

膝折宿はその歴史的背景と重要性から、地域の文化や経済に大きな影響を与えた場所です。そのため、現在においてもこの地域に訪れる人々にとって、歴史を感じることができる貴重な存在となっています。

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