臨場

臨場（りんじょう）

横山秀夫による日本の警察小説『臨場』は、事件現場に臨み初動捜査を行う警察官の姿を描いた作品です。

概要

主人公は、「終身検視官」と呼ばれるベテラン検視官・倉石義男。原作は短編小説として発表され、全8編が『小説宝石』（光文社）に掲載されました。タイトルにある「臨場」とは、警察組織において事件現場に駆けつけ、初動捜査に当たることを意味します。

上農ヒロ昭による漫画化もされており、『週刊漫画TIMES』（芳文社）で連載されました。

また、内野聖陽主演でテレビ朝日系列にて連続ドラマ化され、2009年と2010年に2つのシリーズが放送されました。2012年には映画化もされています。

書籍情報

単行本：光文社より2004年4月13日発売（ISBN 978-4-334-92429-4）
文庫本：光文社文庫より2007年9月6日発売（ISBN 978-4-334-74303-1）
臨場スペシャルブック：光文社文庫より2010年3月31日発売（ISBN 978-4-334-74772-5）
ドラマ第1シリーズのグラビアや出演者インタビューに加え、単行本・文庫本未収録の原作も収録。

漫画情報

単行本：芳文社コミックスより2007年9月15日発売（ISBN 978-4-832-23097-2）
テレビドラマ化に合わせて、コンビニコミックが日本文芸社・Gコミックスより発売。
「臨場 赤の名刺編」（2009年4月27日発売、ISBN 978-4-537-15616-4）
「臨場 黒星編」（2009年5月27日発売、ISBN 978-4-537-15623-2）

主な登場人物

倉石義男（くらいし よしお）：L県警本部捜査一課検視官。「終身検視官」の異名を持つ。鋭い観察眼で、些細な矛盾も見逃さない。組織に縛られない一匹狼的な存在で、上層部からは煙たがられる一方、若い署員からは慕われている。
一ノ瀬和之（いちのせ かずゆき）：L県警本部捜査一課検視官心得。倉石の部下として、検視の現場で経験を積む。
高嶋：プライドの高い捜査一課長。かつては「ミスター・パーフェクト」と呼ばれた検視官。当初は倉石を嫌っていたが、次第にその実力を認めるようになる。
福園盛人（ふくぞの もりと）：L県警剣崎中央署刑事課捜査係長。刑事としての腕は確かで、倉石を「校長」と呼んで慕う。

各話のあらすじ（例）

赤い名刺

一ノ瀬は、自殺と判断された遺体が、かつての不倫相手・ゆかりであることに気づき愕然とする。彼女の死に疑問を感じつつも、他殺の痕跡が見つからず苦悩する。

眼前の密室

新聞記者の相崎は、張り込み中に起きた警部宅での殺人事件に巻き込まれる。密室状況を自ら証明することになり、窮地に立たされる。

鉢植えの女

出会い系サイトで知り合った男と無理心中を図った主婦の事件。警察庁への出向を控えた一ノ瀬は、この事件を「倉石学校」の卒業試験と位置づけ意気込む。一方、高嶋は別の現場で倉石の能力を試そうとする。

テレビドラマ

内野聖陽が倉石義男を演じたテレビドラマは、原作の魅力を最大限に引き出し、多くの視聴者を獲得しました。独特の存在感を放つ倉石のキャラクターと、緻密なストーリー展開が人気を博し、映画化もされるなど、社会現象を巻き起こしました。

関連情報

検視
司法解剖
* 芹沢常行

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