臨安府 (雲南省)

臨安府は、中国の歴史において、雲南省に存在した重要な地方行政区画です。その起源は、モンゴル帝国による統治時代に遡ります。

元代における臨安路の設置

1256年、モンゴル帝国は休臘（きゅうろう）に万戸を設置し、この地域における支配を確立しました。その後、1271年には元朝によって休臘に臨安路が置かれました。臨安路は雲南等処行中書省に属し、河西県と蒙自県という2つの直轄県と、舎資千戸、そして建水州、石坪州、寧州に属する通海県、嶍峨県、合計3州4県1千戸を管轄する広大な地域を統治しました。

明代における臨安府への改編

1382年、明朝は臨安路を臨安府と改称しました。この変更により、臨安府は雲南省に属するようになり、その管轄地域も拡大しました。直轄県として河西県、通海県、嶍峨県、新平県、蒙自県の5県を抱え、さらに建水州、石屏州、阿迷州、寧州、新化州、寧遠州の6州を管轄しました。また、納楼茶甸長官司、教化三部長官司、王弄山長官司、虧容甸長官司、渓処甸長官司、思佗甸長官司、落恐甸長官司、左能寨長官司、安南長官司という9つの長官司もその管轄下に置かれ、合計6州5県9長官司を統治する広大な領域を支配しました。

清代における臨安府

清朝時代においても、臨安府は雲南省に属する行政区画として存続しました。管轄地域は若干変更され、河西県、通海県、嶍峨県、蒙自県、建水県という5つの直轄県と、石屏州、阿迷州、寧州の3州を統治しました。

臨安府の廃止

1913年、中華民国が成立すると、地方行政制度が大幅に見直され、その一環として臨安府は廃止されました。これにより、臨安府の長い歴史に幕が閉じられました。

臨安府は、元朝から清朝、そして中華民国初期に至るまで、数世紀にわたりこの地域の行政を担い、その変遷は、中国の歴史における地方行政制度の変遷を反映しています。特に、明代における府への改編と、その後の清代における統治の変化は、中国の地方行政における中央集権化と地方分権化のバランスを考える上で興味深い事例を提供しています。

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