臨床実習

臨床実習（Bed Side Learning, BSL）は、医療従事者を目指す学生が、実際の医療現場で患者と直接対峙し、臨床における実践的な知識と技能を習得するための重要な教育過程です。

概要

臨床実習は、通常、養成機関の最終学年において実施されます。具体的には、医学部、歯学部、獣医学部では、4年生後期または5年生から開始されることが多いです。実習では、有資格者である教員や研修医が学生に付き添い、指導や助言を行います。臨床実習は、国家試験の実技試験の代替として位置づけられており、その実施は必須とされています。実習を担当する教員は、実質的に実技試験の試験官としての役割も担います。

多くの大学医学部や歯学部では、附属病院を実習の場としています。他の医療従事者を目指す学生も、附属の実習施設で臨床実習を行うことが一般的です。医学部や歯学部の臨床実習は2年間と長期間にわたることが多いですが、他の医療従事者の場合は1年程度で修了することが一般的です。近年では、実際の医療機関に出向いて行う臨地実習が主流となっています。

注意すべき点

臨床実習は、実際の患者を相手に行われるため、患者の尊厳を守り、不快感を与えないように細心の注意を払う必要があります。学生は、患者に対して常に礼儀正しく、適切な態度で接することが求められます。例えば、実習中に他の学生と大声で私語を交わす、挨拶をしない、横暴な口調で問診を行う、説明不足なまま進める、敬語を使わない、患者を侮辱するような態度をとる、不適切な身だしなみ（派手な付け爪、マニキュア、濃い化粧、香水、染髪、そりこみ、眉そりなど）をすることは厳に慎むべきです。

問題点

臨床実習における評価は、各養成施設の教員によって行われます。このため、国家試験の合格率を優先するあまり、学生の評価が甘くなる傾向が見られることがあります。評価が甘いまま卒業した学生が、医療現場で重大な医療事故を引き起こす可能性も指摘されており、教育機関はより厳格な評価を行うべきであるという懸念があります。

臨床実習は、医療従事者として患者と接する最初の機会です。学生は、この実習を通して、医療倫理、コミュニケーション能力、臨床技能を総合的に学ぶ必要があります。医療の質を向上させるためには、臨床実習における指導内容と評価方法を継続的に改善していくことが重要です。

臨床実習は、単なる知識の確認の場ではなく、将来の医療従事者としての意識を高め、患者中心の医療を実践するための重要なステップです。そのため、教育機関は、実習内容の質の向上だけでなく、学生に対する倫理教育やプロフェッショナリズムに関する指導にも力を注ぐ必要があります。

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