臨時戸籍

臨時戸籍とは

臨時戸籍は、第二次世界大戦中の沖縄戦によって滅失した戸籍に代わるものとして、アメリカ軍占領下の沖縄諸島において臨時に編成された戸籍です。これは、沖縄民政府が定めた「臨時戸籍事務取扱要綱」に基づき再製されました。

臨時戸籍の特徴

従来の戸籍制度と同様に「戸主」を中心とした家族集団単位で編成されましたが、いくつかの点で異なる特徴がありました。

現住所の記載: 本籍に加えて現住所も記載され、寄留簿（現在の住民票に相当）のような役割も担っていました。
配給台帳としての利用: 生活物資の配給台帳としても利用され、生活の実態を把握する手段の一つとなっていました。
対象者の拡大: 戸籍が滅失しなかった先島諸島や奄美群島に本籍を持つ人々、本土出身者、無国籍者、外国人も対象に含まれました。
ローマ字ルビ: 氏名にはローマ字によるルビが付され、アメリカ軍への労務提供の際の資料としても活用されました。

臨時戸籍の問題点

しかし、臨時戸籍にはいくつかの問題点がありました。

記載漏れ: 死亡者や行方不明者の多くが記載されておらず、正確な身分関係の把握が困難でした。
不正確な記載: 身分事項欄が空白であったり、事実と異なる記載がなされているなど、公的な証明書としての信頼性に欠ける部分がありました。

これらの問題点から、臨時戸籍は身分関係を公証するには不十分なものでした。

臨時戸籍の終焉

臨時戸籍は、1954年に公布された戸籍整備法（1953年立法第86号）による戸籍再製まで使用されました。この戸籍整備法によって、沖縄における戸籍制度が改めて整備され、臨時戸籍の役割は終えることになりました。

関連項目

戸籍
沖縄戦
戸籍整備法
沖縄関係戸籍事務所

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