自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法

自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法に関する概要

自動車からの排出物による大気汚染を防止するために、特定の地域において窒素酸化物（NOx）および粒子状物質（PM）の排出量を削減することを目的とした法令が、1992年に制定されました。この法律は、自動車NOx・PM法と略称され、法令番号は平成4年法律第70号として知られています。

制定の背景

この法律の根幹をなすのは、1992年に関東と関西における大都市圏を対象にした「自動車NOx法」です。ここでは、ディーゼル車に焦点を当て、NOxの排出削減を目指しています。その後、交通量の増大やPMの健康への影響を受け、この法は改正され、「自動車NOx・PM法」となりました。これにより、PMも規制対象に追加され、更に中京地方が対象地域に加わりました。

対象地域

この法律が適用される地域は以下の通りです：

• - 首都圏: 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の一部
• - 関西圏: 大阪府、兵庫県の多くの市町
• - 中京圏: 愛知県、三重県の多くの市町

法律の内容

自動車NOx・PM法は、主にトラック、バス、ディーゼル乗用車、及びこれらを基にした特種用途自動車がその対象です。これらの車両は、NOxやPMの排気基準を満たす必要があり、基準に適合しない車両は、対象地域内での使用が制限されます。このようにして、悪化した大気環境の改善を図ります。

さらに、関東地方の特定地域と大阪府、兵庫県のいくつかの地域においては、各自治体の規制も設けられており、条件に合わない車両の走行を禁止しています。また、規制に適合する車両には、後付けの触媒装置を取り付けることで、地域内での新規登録や走行が認められています。

2007年の法改正

2007年には、法改正が行われました。この改正は、大気環境の改善が見られたものの、特定の地域では依然として問題が残っていることから、さらなる対策が必要だとされました。その一環として、都道府県知事によるNOxおよびPM対策計画の策定や、自動車交通需要を生じさせる建物の新設時に届出が求められる制度が導入されました。

この改正法は2008年1月1日に施行され、さらに自動車NOx・PM法適合車の普及を促進する「自動車NOx・PM法適合車ステッカー制度」も新たに導入されました。この制度により、適合車両には特定のステッカーが貼られ、所有者はその車両が基準を満たしていることを示すことが可能になります。

課題

この法律の運用に関しては、「車庫飛ばし」と呼ばれる行為が問題視されています。これは、法律の適用を免れるために、対象地域外で車両を登録する行為であり、近年逮捕者も出ています。

法律の構成

自動車NOx・PM法は、以下の章から構成されます：

• - 第1章: 総則
• - 第2章: 自動車排出窒素酸化物等の総量の削減に関する基本方針及び計画
• - 第3章: 自動車排出窒素酸化物等の総量の削減に関する特別の措置
• - 第4章: 雑則
• - 第5章: 罰則

まとめ

自動車NOx・PM法は、自動車による大気汚染の防止に向けた重要な法律です。この法律に基づく規制や施策は、地域の大気環境の改善を図りつつ、持続可能な交通社会の実現を目指しています。

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