自殺系サイト

自殺系サイトとは

自殺系サイトは、インターネット上に開設された、自殺願望を持つ人々や自殺に関心のある人々が集まるウェブサイトです。これらのサイトは、見ず知らずの人々がネットを介して出会うという点で、しばしば出会い系サイトと比較されます。しかし、利用者の多くは明確な自殺の意思を持っているわけではなく、漠然とした将来への不安から自殺を考えてしまう傾向にあると指摘されています。

サイトの傾向

これらのサイトでは、自殺願望を持つ個人が自ら開設したサイトが利用されたり、自殺防止を呼びかけるはずの管理者が不在の掲示板が付いているサイトで、救いを求めてきた閲覧者同士が意気投合するケースが見られます。ネットで知り合った男女が、これらのサイトを介して、初対面でいきなり一緒に自殺するという事件が、日本各地で発生し、社会問題となっています。

自殺系サイトは、日常から隔離された「死」についてオープンに話し合う場となっており、心理的に抑圧された葛藤を匿名で話し合い、ガス抜きをする場としての側面も持ち合わせています。

社会問題化と対策

日本では、自殺系サイトが社会問題として大きくクローズアップされるようになり、警察庁は2003年から統計を取り始めています。2003年の発生件数は12件、死亡者数は34人でしたが、2005年には発生件数が34件、死亡者数が91人と、発生総数で約3倍に増加しました。

その一方で、インターネット上の掲示板への自殺をほのめかす書き込みに対する通報も増加しています。以前は「悪質ないたずら」として無視されたり、管理者側が削除したりする傾向がありましたが、近年ではプロバイダ責任制限法にも絡み、自殺への傾倒が疑われる書き込みも通報されるようになっています。

2005年10月からは、自殺予告者の情報をプロバイダやサーバー運営側が警察に開示することを求めるガイドラインが運用され始め、2005年10月から12月の3ヶ月間は前年同期比で半分以下に減少するなど、社会制度による抑止策も一定の効果を上げています。

海外への影響

日本で2005年3月頃に問題となったネット心中問題は、海外にも影響を与えています。オーストラリアでは、ネット上の自殺関連サイトの運営を禁止する法案が検討され、2005年6月24日に刑法改正案が議会を通過しました。この改正案では、自殺を煽ったり、自殺方法を公開した場合に、サイトの管理者に対して罰金を科すとしています。ただし、安楽死議論などに関するものは処罰の対象外となります。

韓国では、江原道で練炭を使った集団自殺が相次いで発生した事件で、5件のうち4件が特定のインターネット自殺サイトが関与していたことが明らかになっています。この事件を受け、集団自殺行為を目的としていた可能性の高い自殺サイトの運営者が逮捕されています。

関連する事件

自殺系サイトは、自殺事件だけでなく、他の事件の発端となるケースも存在します。自殺系サイト絡みと見られる自殺事例では、報道件数を遥かに上回る未遂事件が潜在的に存在すると考えられています。

1998年には、自殺に関する情報を掲載していたウェブサイトの掲示板管理者が、サイトを通じて知り合った人や口コミで紹介された人に毒物を販売し、購入者の1人が自殺、事件を知った販売者も自殺を図るという事件が発生しました（ドクターキリコ事件）。この事件は、自殺系サイト絡みの事件の初期の形態といえます。

2005年に発覚した「自殺サイト殺人事件」では、快楽殺人嗜好者が自殺系サイトで「いじめなどを苦に死にたがっている人」を物色し、集団自殺を主催すると偽って呼び出し、リンチなど自身の嗜好に沿う形で殺害するという犯行に及んでいました。この事件では、犯人は自身の欲望を満たすために殺害方法を途中で変更するなど、計画的かつ悪質な犯行を行っていました。

2007年には、千葉県の電気工事技師が「自殺サイト」を設置し、生活費欲しさにビジネスとして運営。川崎市在住の女性から自殺幇助の依頼を受け、自殺に見せかけて窒息死させ殺害したとして逮捕されました。この事件では、同工員が設置したサイトをメディア筋が「自殺サイト」と報じたのに対し、オーマイニュース筋は「自殺サイトではなく、何でも屋サイト」ではないかと指摘しています。

結論

自殺系サイトは、自殺願望を持つ人々にとって、心理的な拠り所となる場である一方で、集団自殺や犯罪に巻き込まれる危険性も孕んでいます。社会全体で自殺対策を進めるとともに、インターネットの利用に関するリテラシーを高めることが重要です。

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