自法寺

自法寺の歴史

自法寺は、岐阜県恵那市飯地町に位置する曹洞宗の寺院で、山号を祖廣山と称します。本尊は釈迦牟尼仏であり、恵那三十三観音霊場の二十八番札所として聖観世音菩薩も祀られています。

廃仏毀釈と洞泉寺の終焉

自法寺の前身となる洞泉寺は、寛政年間に雲林寺の末寺として開かれました。しかし、明治3年(1870年)の廃仏毀釈により、苗木藩内の寺院は全て廃寺となり、洞泉寺もその例外ではありませんでした。当時の住職、大同巨益は還俗し、洞田姓を名乗り、廃寺となった洞泉寺の建物に居住を続けました。

明治4年(1871年)に廃仏毀釈が終了すると、飯地村には寺院がない状態となりました。このため、村人は神道に改宗したり、近隣の寺院の檀家になるなど、様々な信仰形態に分かれました。

洞泉寺の再興への動き

明治23年(1890年)、洞泉寺の檀家たちは、残っていた堂宇を修繕し、廃仏毀釈の際に保管していた仏像を安置しました。また、大同巨益の顕彰碑を建て、寺院の再興を願いました。

しかし、その後も臨済宗妙心寺派の信仰を続ける人々や、他宗派に改宗する人々がいるなど、信仰の混乱が続きました。明治36年(1903年)には、旧洞泉寺の建物に他寺の僧侶が居住しましたが、長くは続きませんでした。

自法寺としての再出発

こうした状況を憂慮した高安寺の絶學祖廣は、私財を投じて洞泉寺の跡地を買い取り、寺院の復興を決意しました。尾張国出身の春山恵明大姉が開基となり、静岡県にあった自法庵の寺号を譲り受ける形で、大正元年(1912年)11月16日、曹洞宗の寺院として自法寺が開山しました。

自法寺は、高安寺が属する大林寺の末寺となり、大正2年（1913年）には法地として認められ、山号を授与されました。

その後の自法寺

開山した絶學祖廣は、大正8年（1913年）に入寂。その後、天外祖英が住職となりましたが、昭和5年(1930年)に転住。その後、開元院の大法智勇が住職を兼務しましたが、昭和10年(1935年)に大洞隆禅が住職となりました。

大洞隆禅は、寺の復興を志しましたが、戦没により志半ばで亡くなりました。昭和54年（1979年）には、五世の大智隆輝によって梵鐘と鐘楼堂が建立され、平成2年（1990年）には本堂が新築されました。さらに、平成13年(2001年)には庫裏も新築され、現在の寺院の姿が整えられました。平成25年(2013年)には、大學隆博が六世住職となっています。

現在の自法寺

現在の自法寺は、飯地の沢尻、福原尾、杉之沢組と五明南組の一部を檀家としています。本尊の釈迦牟尼仏の他、恵那三十三観音霊場の二十八番札所として聖観世音菩薩を祀り、地域の人々の信仰を集めています。

参考文献

『飯地村誌』 第四節　宗教　自法庵 p81～p83　岐阜県加茂郡飯地尋常高等小学校　1936年
『恵那市史』　 通史編　第2巻　第八章　江戸時代の社会生活と文化 第二節　社寺と文化　二　仏教と寺院　自法寺　p1079～p1080　1989年
『八百津町史』 史料編　第四編　民俗史料　第七節　苗木藩の廃仏毀釈に就いて 10.飯地洞泉寺　p229～p230　八百津町史編纂委員会　1972年

関連リンク

曹洞宗　祖廣山　自法寺

もう一度検索