開元院

鷹巣山 開元院



開元院は、岐阜県瑞浪市日吉町平岩に位置する曹洞宗の寺院です。山号を鷹巣山と称し、この地で長い歴史を刻んできました。

歴史



開元院は、土岐氏と深い繋がりを持つ寺院として知られています。東濃地方における曹洞宗の中心的な寺院であり、最盛期には30もの末寺を抱え、美濃三刹の一つとして隆盛を誇りました。

開山の祖、月泉正印



開元院の開山は、月泉正印という高僧です。彼は永平寺で修行を積んだ後、諸国を巡り、備中洞松寺を経て美濃にたどり着きました。日吉村の平岩の山地を愛し、この地で座禅三昧の日々を送っていました。土岐頼元が鷹狩りの途中に、深山の岩上で座禅をする月泉正印に出会い、その人徳と叡智に深く感銘を受けました。これを機に、土岐頼元は開元院の創建を発願し、永享11年（1439年）に堂宇が建立されました。山号は、この出会いにちなんで鷹巣山と名付けられました。嘉吉3年（1443年）には、月泉正印が開山となり、開元院は正式に寺院としての歴史を歩み始めました。

その後、月泉正印は能登の総持寺祖院に出世しましたが、後に開元院に戻り、文明2年（1470年）に63歳でその生涯を閉じました。

二世住持、盛禅洞奭



二世住持の盛禅洞奭は、尾張福厳寺や恵那郡藤村の洞禅院を開山し、開元院の発展に貢献しました。

戦火と移転



天正2年（1574年）、武田勝頼の東濃侵攻により、開元院は兵火によって焼失しました。そのため、現在の場所に移転し、再建されたと伝えられています。この戦火で、土岐氏ゆかりの光善寺や定林寺も廃寺となる憂き目に遭い、土岐頼貞など土岐氏の位牌が開元院に移されました。

中興の祖、體巌雲恕



八世住持の體巌雲恕は、慶長元年（1596年）に恵那郡大井村の長国寺を中興し、その後は岩村城下の盛巌寺の三世となり、馬場山田村に盛久寺を開山しました。

山門



現在の山門は、享和元年（1801年）に建立されたもので、銅板葺きの巨大なものです。その壮麗な姿は、瑞浪市の文化財として指定されています。

寺宝



開元院には、数々の貴重な寺宝が伝えられています。

聖観世音菩薩



本尊の聖観世音菩薩は、檜材の寄木造りで、玉眼が用いられた坐像です。像の底にある墨書銘から、南北朝時代の文和5年（1356年）に造られたことが判明しています。定林寺を開基した土岐頼貞の没後、開元院の本尊仏として安置されました。この像は、岐阜県の文化財に指定されています。

絹本著色 月泉性印和尚 頂相図



月泉正印和尚の頂相図は、土岐頼元が月泉正印の像を描き、七回忌にあたる文明8年（1476年）に二世の盛禅洞奭が賛文を書いて納めたものです。この図は非公開で、瑞浪市の重要文化財に指定されています。上部に書かれた賛文から、文明丙申に土岐頼元によって描かれたことが分かります。幕末に刊行された『新撰美濃志』にも、「開山像ハ土岐頼元の画にて、住持洞奭和尚の賛あり」と記されています。この頂相図は縦120cm、横40cmの軸装で、絹の布に描かれています。平成2年（1990年）に修理されましたが、賛文の一部の不明な文字は欠字のまま修復されています。

開元院 駕籠



江戸時代後期の作とされる駕籠は、主に武家が使用した権門駕籠です。祖先や主家の供養などの理由で、ゆかりの寺に寄進されたと考えられています。土岐氏の家紋である桔梗の装飾金具が施されており、その工法は大変優れています。瑞浪市の重要文化財に指定されています。

鷹絵



土岐頼元の筆による鷹の絵も伝えられています。

山門



享和元年（1801年）に建立された山門は、東大寺南大門と同形式であり、瑞浪市の重要文化財に指定されています。

関連寺院



塔頭



開元院の創建当時、開山した月泉性印を慕って多くの求道僧が集まりました。特に五哲と称された愛弟子たちが、境内に庵（塔頭）を開き、親寺である開元院を護持しました。

  • - 地蔵庵：盛禅洞奭（第一弟子、開元寺二世、福厳寺を開山）
  • - 幸福庵：周牧三鼎（第二弟子）
  • - 三陽庵：龍宗徳水（第三弟子）
  • - 圭田庵：玄正慈園（第四弟子）
  • - 東光庵：乾山自亨（第五弟子）

本寺



  • - 福厳寺 (小牧市)

末寺



開元院の末寺として、以下の寺院が挙げられます。


関連リンク




参考文献



  • - 『瑞浪市史　歴史編』 第四編　中世　第三節　中世の宗教・文化　一　仏教　開元院　p364～p365　瑞浪市　1937年
  • - 『土岐市史 1 (原始時代-関ケ原合戦)』　第十一章 室町時代の宗教　四　曹洞宗の発展状況　日吉開元院　p376～p378 土岐市史編纂委員会　1970年
  • - 『岐阜県百寺』　開元院　p180～p181　郷土出版社　1987年

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