自由フランス

自由フランス（France Libre）

自由フランスとは、第二次世界大戦期間中にナチス・ドイツのフランス占領に反発して設立された組織で、亡命フランス人によって構成されました。この組織は独自の自由フランス軍（Forces Françaises Libres）を指導し、国内のレジスタンス活動を支えました。1942年には「戦うフランス（France combattante）」という名称に改称されました。

結成の背景

1940年、ドイツ軍の侵攻によりパリが陥落した後、シャルル・ド・ゴール将軍はロンドンに亡命し、6月18日にBBCを通じて対抗運動への参加を呼びかけました。その後、フランス政府はヴィシー政権を樹立し、ドイツに降伏する道を選びましたが、ド・ゴールはフランス国民委員会を設立し、正統な政治的権限を主張しました。イギリスはこの委員会を支持しました。

初期の活動

自由フランスは主にBBCを通じて国内に対ドイツ抵抗を呼び掛け、レジスタンス活動をサポートしました。また、自由フランス軍はイギリスからの軍事支援を受け、連合国の作戦に参加しました。しかし、メルセルケビールの海戦などの影響で、当初は支持を得ることが難しく、7,000名程度の兵力しか集まらない状況でした。

1940年には初の軍事行動としてダカール沖での作戦に参加しましたが、成功には至りませんでした。それでも自由フランスは、海外植民地からの支持を受けて組織を強化し、ド・ゴールはヴィシー政府を非難しました。

米英との関係

連合国との関係は一筋縄では行かず、特にド・ゴールの態度が問題視され、彼は「独裁者」的な存在とされました。1941年までにアメリカは自由フランスを武器支援の対象として認め、正式な組織としての地位を強化しました。1942年には、「戦うフランス」への改称が行われ、国内外での活動が本格化しました。

フランス国民解放委員会の結成

1943年、自由フランスは新たにフランス国民解放委員会（CFLN）を設立しました。この委員会は、ド・ゴールとアンリ・ジローの共同議長の下で、全フランス軍を指導することを宣言し、連合国からの承認を図りました。ジローとの権力闘争を経て、ド・ゴールは唯一の指導者としての地位を固めました。

パリの解放と戦後の影響

ノルマンディー上陸作戦の後、ド・ゴールはパリの解放を急ぎ、8月に入城しました。彼の姿はフランスの独立と解放の象徴として広く受け入れられました。その後、連合国は彼が指導するフランス共和国臨時政府を正式に承認し、フランスの新たな政治体制が構築されていきました。

シンボルと文化

自由フランスのシンボルであるロレーヌ十字は、戦時中に広く使用され、ド・ゴールの墓所にも大きなものが建てられています。また、国歌としては「ラ・マルセイエーズ」が歌われ、他にも「パルチザンの歌」が歌われるようになりました。ド・ゴールのリーダーシップはフランスにおける戦後の政治形態に大きな影響を与えました。

自由フランスは、ナチス占領下におけるフランス人の抵抗の象徴であり、戦後のフランスの政治的再構築においても欠かせない存在となりました。

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