自由ベトナム臨時政府

自由ベトナム臨時政府 (Provisional Government of Free Vietnam)

自由ベトナム臨時政府（GFVN）は、1995年4月30日にグエン・ホアン・ダンによって設立された、反共主義を掲げる政治団体です。本拠地はアメリカ合衆国カリフォルニア州ガーデングローブにあり、「ベトナム共和国の亡命政府」を自称していました。しかし、国際的な承認を得ることはありませんでした。

概要

GFVNの最終目標は、ベトナム社会主義共和国政府を政治的、軍事的な活動によって排除することでした。最盛期には6000人の構成員を擁すると主張し、ベトナムとカンボジアの国境付近に秘密基地を有していると発表していました。また、アジア、オーストラリア、ヨーロッパなどに75の支部があると主張していましたが、客観的な証拠はありませんでした。

GFVNは、世界中のベトナム人コミュニティ（越僑）からの広範な支持があると主張し、運営予算を富裕層からの寄付で賄っていました。しかし、実際にはコミュニティからの代表権や支持を得ている証拠はなく、むしろ設立時には既に別の亡命政府組織が存在し、アメリカのベトナム人コミュニティは分裂状態でした。

1995年のアメリカとベトナムの国交回復後、GFVNはベトナム政府に対してテロ活動を行いました。しかし、これはアメリカの中立法に違反する行為であり、アメリカの外交政策にとって不利益となるものでした。2005年、元ベトナム共和国首相のグエン・カーンがGFVNの元首に就任しましたが、組織はベトナム当局による構成員の逮捕や越僑の無関心によって力を失い、2013年にグエン・カーンが死去すると自然消滅しました。

GFVNは公式ウェブサイトを開設していましたが、2009年から2011年の間に利用不能になりました。しかし、関連文書やプロパガンダビデオなどは、カリフォルニア大学アーバイン校の図書館に保管されています。

テロ活動

GFVNは、1999年から2001年にかけて、ベトナム国内外で複数のテロ事件に関与したとされています。

1999年3月から2000年8月にかけて、ホーチミン市でテロ事件を計画。
2000年8月、ロンドンのベトナム大使館放火事件に関与した疑い。
2001年4月、プノンペンのベトナム大使館爆破事件に関与した疑い。
2001年6月、タイのベトナム大使館での爆弾設置事件に関与。
2001年8月、マニラのベトナム大使館爆破計画に関与し、メンバーが逮捕。

これらのテロ活動は、いずれも未遂に終わったか、あるいは直接的な関与を証明する証拠が不足しています。

その他の情報

GFVNは、旧南ベトナムの国旗である黄底三線旗を「国旗」として使用していました。しかし、この旗は反共主義のベトナム民主化運動でも広く使われているため、旗を使用している人が必ずしもGFVNのメンバーとは限りませんでした。2008年の北京オリンピックの聖火リレー反対デモでは、チベットや東トルキスタンの旗と共に、黄底三線旗も掲げられました。

関連事項

ベトナム民主化運動
ベトナム共和国（南ベトナム）
ベトナムの国旗
南ベトナムの国歌
反共主義

外部リンク

Guide to the Government of Free Vietnam Publicity and Organizational Materials
(カリフォルニア大学アーバイン校の図書館で確認できる関係文書・アーカイブの概要。GFVNの概説を含む。)

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