グエン・カーン

グエン・カーン（阮 慶）

グエン・カーン（阮 慶、ベトナム語：Nguyễn Khánh、1927年11月8日 - 2013年1月11日）は、南ベトナムの軍人であり、政治家です。南ベトナムの大統領を務めた人物として知られています。

生涯

1927年11月8日に生まれたグエン・カーンは、軍人としてキャリアをスタートさせました。南ベトナムが混乱期にあった1964年、ズオン・バン・ミン大統領の対南ベトナム解放民族戦線への姿勢に不満を抱き、アメリカの支援を受けてクーデターを決行しました。1964年1月30日、彼は新軍事革命委員会議長に就任し、南ベトナムの実権を掌握しました。その後、内閣を組織し、大統領に就任しました。

しかし、彼の政権は安定せず、クーデターを乱発し、国内の政治を混乱させました。この混乱は南ベトナム社会の不安定化を招き、結果的に南ベトナム解放民族戦線の勢力拡大を許す要因となりました。

1965年2月25日、グエン・カーンはアメリカの対南ベトナム政策への不信感から、南ベトナム解放民族戦線との対話を示唆しました。この行動が南ベトナム軍内の強硬派の反発を招き、グエン・バン・チューらの手によって事実上フランスへと追放されました。

南ベトナム崩壊後の1977年、グエン・カーンは家族と共にアメリカに移住しました。アメリカでは、テキサス州、ホンジュラス、カリフォルニア州などでベトナム系企業に勤めました。

1990年代になると、彼はベトナムの将来に関する政治活動を積極的に行うようになりました。2005年1月2日には、カリフォルニア州リトル・サイゴンを拠点とする反共亡命政府組織「自由ベトナム臨時政府」の政府元首に選出され、政治活動を再開しました。しかし、政府元首就任後の具体的な政治活動については、あまり知られていません。

グエン・カーンは2013年1月11日にカリフォルニア州サンノゼで亡くなりました。85歳でした。

政治的背景

グエン・カーンの政治活動は、ベトナム戦争という複雑な歴史的背景の中で展開されました。彼は南ベトナムの不安定な政治状況の中で、軍事力を背景に権力を握りましたが、その政治手腕は必ずしも高く評価されませんでした。アメリカの支援を受けながらも、独自の外交政策を模索したことは、彼の複雑な立場を象徴しています。

評価

グエン・カーンは、南ベトナムの激動期を象徴する人物の一人として、歴史に名を残しています。彼の行動は、南ベトナムの政治的混乱を招いただけでなく、ベトナム戦争の複雑さを浮き彫りにしました。彼の生涯は、権力と政治の不安定さ、そして亡命生活という、20世紀後半の歴史的なテーマを映し出しています。

関連項目

ベトナム戦争

外部リンク

1964年の韓国訪問

もう一度検索