自由教会

自由教会：自立と信徒の献金によって支えられる教会

自由教会とは、国家教会とは対照的に、教会の自立性を確保した教会形態です。国家からの干渉を受けず、信徒の自主的な献金によって運営されている点が大きな特徴です。日本のプロテスタント教会の多くは、自由教会の宣教師によってキリスト教が伝えられた歴史を持っています。

しばしば誤解されますが、自由教会は、自由主義神学（リベラリズム）とは直接的な関連性はありません。自由主義神学が教会と国家の分離を必ずしも主張しないのに対し、自由教会は国家権力からの独立性を重視します。

国教会では、十分の一税といった強制的な税によって運営資金を確保している場合が多いです。一方、自由教会では、信徒が自発的に献げる自由献金（礼拝献金や什一献金など）が経済的な基盤となっています。この自由献金は、神への感謝の気持ちを表す行為であり、同時に自由教会の自由と自立の象徴と言えるでしょう。

自由教会運動の歴史：スコットランドから世界へ

自由教会運動の直接的な起源はスコットランドにあります。1567年、ジョン・ノックスの指導の下、スコットランド教会はローマ・カトリック教会から独立しました。しかし、その後も国家との関係に課題を抱え続け、1740年には分離教会が形成され、1843年にはトーマス・チャーマーズを指導者としてスコットランド自由教会が誕生しました。これは、国家からの干渉を排し、教会の自主性を確立しようとした重要な出来事でした。

スコットランド自由教会の誕生は、ヨーロッパ大陸にも大きな影響を与えました。1816年には、スコットランドのロバート・ハルデーンがジュネーヴに自由教会運動を伝え、アンリ・メルル・ドオビニエを指導者として、1834年にはジュネーヴにおいて国教会から離脱した教会が設立されました。ヌーシャルにおいても、フリデリック・ゴデーの指導の下、1873年に自由教会が成立しました。ドイツでは、1835年にエルバーフェルト市で、ヘルマン・フリードリッヒ・コールブリュッゲ率いる改革派教会のグループが国教会から分離し、自由教会としての歩みを始めました。

このように、自由教会運動はスコットランドから始まり、ヨーロッパ大陸へと広がり、多くの国で国教会から独立した教会が誕生するきっかけとなりました。それぞれの地域や国において、歴史的背景や社会情勢に応じて独自の展開を見せながらも、教会の自立性と信徒の自由な信仰を大切にするという共通の精神が脈々と受け継がれてきました。

自由教会の意義

自由教会は、単なる教会の形態にとどまりません。それは、国家権力からの独立性、信徒の自主性、そして信仰の自由を象徴する存在です。自由教会の歴史は、人々が信仰の自由を求め、自らの手で教会を築き上げてきた歴史であり、現代においてもその精神は普遍的な価値を持ち続けています。自由献金という制度は、信徒の信仰の深さを示すだけでなく、教会の自立性を維持するための重要な要素となっています。

自由教会の運動は、教会と国家の関係、信仰の自由、そして教会のガバナンスについて、私たちに多くの示唆を与えてくれるでしょう。

もう一度検索