臭化銀(I)

臭化[銀]について

臭化[銀]（しゅうかぎん いち、英: silver(I) bromide）は、銀のハロゲン化物の一種で、化学式はAgBrです。主にメキシコで見られる天然鉱物「臭銀鉱」として採掘されることがあります。この化合物は黄色の固体であり、光に対して感受性が高いため、写真感光剤として19世紀から利用されてきました。

製法

臭化銀は、臭化物イオンを含む水溶液に硝酸銀水溶液を加えることによって生成されます。この過程では、以下の反応式が成り立ちます。

$$
\text{Ag}^+(aq) + \text{Br}^-(aq) \rightarrow \text{AgBr}
$$

このようにして、銀イオンと臭化物イオンが結合し、沈殿物である臭化銀が形成されます。

性質

臭化銀の融点は432°Cであり、比重は6.47です。水にはほとんど溶解せず、20°Cでの溶解度は非常に低い（0.02 mg/100 ml）ことが特徴です。臭化銀は、シアン化アルカリやチオ硫酸ナトリウムの水溶液で錯体を形成し、溶解することができます。また、濃いアンモニア水や熱濃硝酸でも少量溶解します。

具体的には、臭化銀はシアンイオン（CN⁻）と反応して以下のような錯体を形成します。

$$
\text{AgBr} + 2 \text{CN}^- \rightleftharpoons [\text{Ag(CN)}_2]^- + \text{Br}^-
$$

この反応の平衡定数は1.2×10⁸の値を示します。

結晶構造

臭化銀は塩化ナトリウム型の結晶構造を持ち、その格子定数はa = 5.768 Åです。また、Ag-Br結合距離は2.88 Åとされています。このように、結晶構造は安定性と特定の性質に寄与しています。

感光剤としての利用

写真感光剤としての臭化銀は、良質の結晶を作るために、ゼラチンなどの保護コロイドを添加した水溶液中で生成されます。臭化カリウム水溶液と硝酸銀水溶液を同時に撹拌しながら混合することで、結晶の質が向上します。ここで、銀イオン濃度を一定に保つことが重要であり、その値は通常対数変換され、pAgと呼ばれます。ゼラチン濃度が適切で、銀イオン濃度が低ければ、正八面体の形状の結晶が得られます。

最近では、双晶面を持つ平板状の粒子がフィルム用途に多く利用されており、光の敏感さと再現性を強化する役割を果たしています。

まとめ

臭化[銀]はその特性から、写真業界において非常に重要です。また、その物理的・化学的性質によって、様々な応用が可能であることが明らかです。今後の研究や応用が期待される物質です。

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