臭素酸カルシウム

臭素酸カルシウム：性質、生成、用途、安全性

臭素酸カルシウムは、化学式Ca(BrO3)2で表される無機化合物です。カルシウムイオンと臭素酸イオンから構成される塩で、無色の結晶として存在します。一部の国では、小麦粉改良剤として利用されていますが、日本では食品添加物として認可されていません。

臭素酸カルシウムの生成

臭素酸カルシウムは、水酸化カルシウムと臭素を水溶液中で反応させることで生成されます。この反応は、臭素の不均化反応と呼ばれる複雑な過程を経て進行します。具体的には、臭素の一部は酸化されて臭素酸イオンとなり、残りは還元されて臭化物イオンになります。この反応を化学式で表すと以下のようになります。

6Ca(OH)₂ + 6Br₂ → Ca(BrO₃)₂ + 5CaBr₂ + 6H₂O

この反応は、加熱条件下で行われます。生成された臭素酸カルシウムは、溶液を濃縮することで一水和物として析出します。

臭素酸カルシウムの性質

臭素酸カルシウム一水和物は、斜方晶系の無色の結晶です。水に非常に溶けやすく、空気中で湿気を吸収する性質（潮解性）を持ちます。加熱すると結晶水（水分子）を失い、無水物になります。さらに高温に加熱すると、酸素を放出して分解し、臭化カルシウムになります。この分解反応は以下の化学式で表されます。

Ca(BrO₃)₂ → CaBr₂ + 3O₂

臭素酸カルシウムの用途

臭素酸カルシウムは、一部の国では小麦粉の改良剤として使用されています。小麦粉に添加することで、パン生地の強度を高め、焼き上がりを改善する効果があります。しかし、臭素酸カルシウムは発がん性に関する懸念があるため、多くの国では食品添加物としての使用が制限または禁止されています。日本では、食品添加物として認可されていません。

臭素酸カルシウムの安全性

臭素酸カルシウムは、摂取すると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、高濃度の臭素酸カルシウムを摂取した場合、発がん性物質である臭素酸イオンが体内に蓄積されるリスクが高まります。そのため、臭素酸カルシウムの取り扱いには注意が必要です。

まとめ

臭素酸カルシウムは、水酸化カルシウムと臭素から生成される無機化合物です。水に溶けやすく、加熱により分解する性質を持ちます。一部の国では小麦粉改良剤として使用されていますが、発がん性に関する懸念から、多くの国で規制されています。日本では食品添加物として認められていません。臭素酸カルシウムを取り扱う際は、安全に配慮することが重要です。

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