臼塚古墳

臼塚古墳の概要

臼塚古墳（うすづかこふん）は、大分県臼杵市大字稲田に位置する重要な古墳で、1948年に大分県の史跡に指定されました。この古墳は、臼杵市北部の熊崎川流域に広がる洪積台地の南端、標高約20メートルの高台にあります。全長は約87メートルで、後円部の直径は約45メートル、高さは約6メートル、前方部の幅も約45メートルとされています。この古墳は、5世紀中頃に築造されたと推測されており、地域内で最大規模の前方後円墳です。

古墳の墳丘上には、明治時代に建てられた臼杵神社の社殿があり、社殿建築の際に古墳の一部が削られてしまいましたが、全体の形状は比較的良好に保たれています。さらに、前方部と後円部の間には、元々2基の石甲（高さ135cm）が立っていたことが知られており、これらの石甲は1976年6月5日に国の重要文化財に指定されました。現在、これらの石甲は臼杵神社の境内に移設されています。

古墳の調査では、社殿の建設当時に後円部から2基の舟形石棺が発見されました。これらの石棺は全長285センチメートル及び225センチメートルで、それぞれ一枚岩から掘り出されたものです。内部には朱が施され、各石棺には2体の人骨が埋葬されていると考えられています。特にこの人骨には、潜水によって生じる外耳道骨腫が見られることから、被葬者は海人であったことが推定されています。さらに、この古墳からは位至三公双龍鏡（直径9.9cm）、変形獣帯鏡（直径9.7cm）、武具や装飾品が多数出土したことが報告されています。

石甲の特徴

臼塚古墳に存在する石甲は、一般に石人石馬と呼ばれる石像の一種です。円柱状の台部の上に、2つの円錐が取り付けられた形で造られており、甲冑を着た人を表現したものと考えられています。ただし、頭部は取り付けられていないため、完全な形状ではありません。この石甲の形が、臼と杵に似ていることから、臼杵という地名の由来になったという説も存在します。

石人石馬は、主に北部九州に分布しており、特に福岡県の岩戸山古墳では多数発見されています。大分県内では、同じく臼杵市の熊崎川流域に存在する下山古墳と限定的に見られることから、臼杵の地域特異性が注目されています。

結論

臼塚古墳は、その壮大な規模と文化財としての価値から、古代の海人文化や地域の歴史を知る貴重な遺跡です。また、古墳を訪れることで、その神秘的な雰囲気や歴史を肌で感じることができ、現代においても学問や観光の対象として広く知られています。

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