興聖寺 (京都市)

興聖寺（こうしょうじ）

興聖寺は京都市上京区に位置する、臨済宗興聖寺派の本山となる寺院です。寺の山号は円通山で、本尊として釈迦如来を祀っています。また、茶人の古田織部との関係が深いため、「織部寺」としても知られています。

歴史の背景

興聖寺は慶長8年（1603年）に創建されました。法華宗の教えを広めた妙満寺の弟子、虚応円耳（本名は斎藤）により、近隣の大応寺から移って設立されたものです。当初、この寺は「興正寺」と呼ばれていました。その後、茶人古田織部の妻であるセンとの関係が強調されるようになりました。センは北野天満宮近くの青霄院で隠棲していましたが、彼女の死後、その院が後に興聖寺の塔頭に移転しました。この織部夫妻の墓は昭和時代に古田家によって建てられ、日種譲山住職の推進により「織部寺」と称されるようになった経緯があります。

興聖寺は、江戸時代初期には後陽成上皇および後水尾天皇の勅願所としても知られ、また元禄14年（1701年）には日蓮宗から禅宗の寺院に転身しました。多くの塔頭を持っていた時期もありましたが、1788年の天明の大火により、仏殿を除く建物は全焼してしまいます。しかし、その後の再興によって本堂は再び人々に親しまれる存在となりました。

1887年（明治20年）、興聖寺は臨済宗相国寺派に所属を変え、さらに1953年（昭和28年）に興聖寺派として独立しました。さらに、著名な絵師、曾我蕭白とその一族の菩提寺でもあります。

境内の特徴

興聖寺の境内には多くの見どころがあります。まず本堂は元禄2年（1689年）に再建されたもので、元々は仏殿でしたが、現在は法堂も兼ねた本堂となっています。本尊の釈迦三尊像を始め、愛宕神社の旧本地仏である地蔵菩薩像（勝軍地蔵）、藤堂高虎寄進による達磨像などが安置されています。

方丈には杏橋幹彦による海中の風景を描いた「青波の襖絵」が展示されており、訪れる人々を楽しませています。また、庭園は美しい池泉回遊式庭園で、静寂な空間を提供します。

茶室には「雲了庵」と「青松庵」があり、これらはそれぞれ古田織部とその妻の院号にちなんで名づけられました。さらに、開山堂や東山天皇皇女福宮の墓、古田織部夫妻の墓、曾我蕭白の墓など、さまざまな文化的な遺産があります。

文化財

興聖寺には重要文化財に指定されているものがいくつか存在します。特に、曾我蕭白が筆を執った「紙本墨画 寒山拾得図」や「絹本著色 兜率天曼荼羅図」などが注目されています。これらの貴重な文化財は、興聖寺の歴史と様々な文化的背景を物語っています。

興聖寺は、歴史的な価値を持つ寺院であり、現代に生きる人々にとっても大切な文化遺産の一部となっています。

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