興詮寺

興詮寺（こうせんじ）は、鹿児島県薩摩郡さつま町広瀬に位置する浄土真宗本願寺派の寺院です。その起源は、永仁5年（1297年）に、この地で有力な国人であった渋谷氏によって建立された観音堂に遡ります。その後、応永5年（1398年）に現在の場所に移転し、禅寺として再興されました。

江戸時代に入ると、この寺は地域の私領主であった島津氏の分家、佐志家の菩提寺としての役割を担うようになりました。この地域は、当時、廃仏毀釈運動が非常に盛んな地域の一つでしたが、興詮寺は幸運にもその難を逃れました。そのため、現在では鹿児島県内で、江戸時代以前の建造物を有する数少ない寺院の一つとして貴重な存在となっています。

特に、本堂の内陣は室町時代に建てられた当時の原型をほぼそのまま残しており、その歴史的価値が非常に高いと評価されています。この内陣の建造物としての価値が認められ、平成12年（2000年）には、鹿児島県指定の文化財として登録されました。

興詮寺は、その長い歴史の中で、地域の信仰の中心として、また歴史的な建造物を今に伝える貴重な存在として、地域の人々に大切に守られています。この寺を訪れることで、日本の歴史と文化の一端に触れることができるでしょう。

興詮寺（本堂）内陣・鹿児島県指定有形文化財（PDF）

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