舘石昭

舘石 昭（たていし あきら、1930年6月11日 - 2012年9月9日）は、日本の水中写真および水中撮影分野における先駆者であり、株式会社水中造形センターの設立者、会長を務めました。

水中世界の記録者としての軌跡

千葉県館山市に生まれた舘石昭は、黎明期にあった日本の水中写真・撮影というジャンルを文字通り開拓しました。1958年には、羽仁進監督の長編ドキュメンタリー映画『海は生きている』において水中撮影を担い、水中の世界を初めて本格的に映像として世に示しました。同年には、日本で初めてとなる水中写真のグループ展を開催するなど、この新たな表現手法の可能性を追求しました。

出版事業を通じた文化普及

舘石の功績は撮影活動にとどまりません。1969年には、日本で初めてのスキューバダイビング専門誌となる『マリンダイビング』を創刊しました。これにより、一般の人々がダイビングの世界に触れる機会が格段に増え、日本のダイビング文化の普及に大きく貢献しました。さらに、1978年にはビーチ&リゾート専門の旅行誌『海と島の旅』を、そして1988年には世界初となる水中写真に特化した専門誌『マリンフォト』を世に送り出し、水中世界や海辺の魅力、水中写真の芸術性を広く発信し続けました。

年譜と栄誉

その生涯は、数々の挑戦と功績に彩られています。

1930年 - 千葉県館山市にて誕生。
1952年 - 千葉大学工学部意匠学科を中退。
1958年 - 日本初の水中写真グループ展を開催。羽仁進監督『海は生きている』の水中撮影を担当。
1969年 - 日本初のダイビング専門誌『マリンダイビング』を創刊。
1978年 - ビーチ&リゾート専門旅行誌『海と島の旅』を創刊。
1981年 - 映画『冒険者カミカゼ -ADVENTURER KAMIKAZE-』の水中撮影スタッフとして参加。
1988年 - 世界初の水中写真専門誌『マリンフォト』を創刊。
2004年 - 国際スキューバダイビング殿堂（International Scuba Diving Hall of Fame）に、アジア人として初めて選出されるという快挙を成し遂げました。
2005年 - これまでの功績が認められ、文化庁長官表彰を受章。
2006年 - 旭日双光章を受章。
2007年 - モルディブ共和国大統領賞特別賞を受賞し、国際的な評価を一層確固たるものとしました。
2009年 - 一般財団法人日本水中写真普及協会を設立し、後進の育成や水中写真の普及活動にも尽力しました。
2012年 - 大腸癌により82歳で逝去。

主な著書

舘石は多くの著書を通じて、神秘的な水中の世界を紹介しました。

『海中公園』（朝日新聞社）
『沖縄の海と自然』（小学館）
『海のさかな』（あかね書房）
『水中写真入門』（朝日ソノラマ）
『遥かなる珊瑚礁』（ぎょうせい）
『イルカと幸せな日々』
『OCEAN OF THE WORLD HERITAGE 世界遺産の海』（水中造形センター）
『PLANET BLUE』（水中造形センター）
『MALDIVES 1978 to 2001』（水中造形センター）
『CRYSTAL BLUE』（水中造形センター）
『地球水族館』（水中造形センター）
* 『珊瑚の海から』（水中造形センター）

舘石昭が日本の水中写真・ダイビングの世界に果たした役割は計り知れません。その活動は、多くの人々に海の魅力と驚きを伝え、新たな文化を根付かせる礎となりました。

もう一度検索