舘野鴻

舘野 鴻の紹介

舘野 鴻（たての ひろし、1968年生まれ）は、日本の著名な絵本作家および生物画家であり、彼の作品は特に昆虫をテーマにしたものが目立ちます。2019年以降、彼はカナ表記の「たての ひろし」を名乗ることでも知られています。彼の師である熊田千佳慕との深い関係が、彼の作品にも大きな影響を与えています。

来歴

幼少期からの興味

舘野は神奈川県横浜市で生まれました。幼少期には母親に連れられ、師である熊田千佳慕のもとに赴き、絵を学んでいました。この経験が彼の創作意欲を育むきっかけとなりました。中学時代には生物部に入部し、そこでオサムシに目を向け、その魅力を深く理解するようになりました。

学問と多様な経験

1986年、舘野は札幌学院大学に進学し、北海道の自然に浸りながら昆虫採集を行いました。しかし、大学を中退した後は、様々な職を経験しながら、演劇や国内外の生物観察を行いました。1992年に横浜に戻った後、土木作業員や配送業などをしながら、現代美術に触れる体験を重ねます。

1994年、熊田千佳慕を通じて高桑正敏と出会い、生物調査の仕事を始めます。これにより、彼は本格的に生物画を描くようになります。1996年には秦野市に転居し、2000年にはアマチュアの昆虫研究家とともに図鑑のイラストを手掛けることになります。

絵本作家への転身

2002年には初の図鑑「原色ワイド図鑑 昆虫I・II」が発行され、その後も数多くの図鑑や絵本の制作に関わりました。特に学研の科学の仕事を通じて、彼の絵は学術的な正確さと美しさを両立させるものとなりました。特に、自らの手で観察した対象の解剖を重ね、その情景を詳細に描くことに情熱を注いでいます。

舘野は絵本作りにおける新たな挑戦を始めた際、熊田千佳慕から永野昌博博士の論文を受け取り、その内容に心を打たれます。この出会いを契機に、絵本『しでむし』の制作がスタートしました。2009年にはこの作品が偕成社から出版されます。彼の作品は日本国内だけでなく、韓国や中国でも翻訳されています。

受賞歴と影響

彼の作品は多くの賞を受賞しており、2017年には第66回小学館児童出版文化賞を受賞し、2021年には世界最大規模の絵本原画コンクールであるBIBの国内選考会で入選しました。さらに、2023年には『ねことことり』で第28回日本絵本賞、2024年には『どんぐり』で第29回日本絵本賞を受賞しました。

研究と学問への寄与

また、絵本制作の副産物として、ヒメツチハンミョウの生態を観察し、その生態についての報告を発表するなど、科学的な知見を深める努力も続けています。これは、彼が単なる作家ではなく、観察者、研究者であることを示しています。

まとめ

舘野 鴻は、生物に深い愛情を持ち、その魅力を絵本に落とし込む才能ある作家として認識されています。彼の作品は、子供たちに生物の美しさを伝えるだけでなく、学術的な価値を持つものでもあるため、多くの人々に支持されています。今後の活躍がますます期待される存在です。

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