舞鶴港駅

舞鶴港駅：舞鶴港発展を支えた貨物駅の軌跡

かつて京都府舞鶴市上安久にあった舞鶴港駅は、日本国有鉄道（国鉄）舞鶴線貨物支線（通称舞鶴港線）の終着駅として、舞鶴港の貨物輸送を担う重要な役割を担っていました。舞鶴鎮守府の開府と舞鶴港の国際貿易港としての発展に伴い、軍需物資の輸送や商業貨物の取扱量が増加したことに対応するため、駅は開設されました。

舞鶴港駅の概要

舞鶴西港に位置する舞鶴港駅は、西港の旧第一埠頭と第二埠頭に構内側線が敷設され、効率的な貨物輸送を可能としていました。特に旧第一埠頭には、船舶から貨車を積み込むためのテルファーが設置されており、近代的な貨物取扱設備を備えていたことが伺えます。さらに、第四埠頭へ続く京都府営専用線も接続され、広範囲にわたる物流ネットワークを構築していました。

開設当初は、舞鶴海岸荷扱所として開業しましたが、その後、旅客営業も行われていた時期もありました。これは、港湾地域における人々の移動手段としての需要の高まりに対応したものでしょう。しかし、旅客輸送の需要変化や貨物輸送の効率化などを背景に、後に旅客営業は廃止されました。

歴史と変遷

舞鶴港駅の歴史をたどると、1904年（明治37年）11月3日の官設鉄道舞鶴海岸荷扱所としての開業に始まります。開業と同時に阪鶴鉄道に貸与され、その後、1907年（明治40年）8月1日の阪鶴鉄道国有化を経て、国鉄の管理下に置かれました。1913年（大正2年）4月10日には海舞鶴駅に改称され、旅客営業を開始。しかし、1924年（大正13年）4月12日には旅客営業を廃止しました。そして、1966年（昭和41年）10月1日には舞鶴港駅と改称され、貨物輸送に特化した駅として機能を継続しました。

時代の変化に伴い、舞鶴港の貨物取扱量は減少。1985年（昭和60年）3月12日に最終運行を迎えます。そして、3月14日、舞鶴港駅は歴史の幕を閉じました。

駅周辺の現在

舞鶴港駅の廃止後、駅周辺は新たな役割を担うこととなります。現在、第八管区海上保安本部や海上保安庁舞鶴保安部といった重要な施設に加え、ハローワーク舞鶴（舞鶴公共職業安定所）が設置されています。かつての貨物駅周辺は、行政や公共サービスの中心地へと変貌を遂げているのです。

舞鶴港駅：地域の記憶

舞鶴港駅は、近代日本の港湾発展と地域の産業を支えた重要な拠点でした。その歴史は、舞鶴港の隆盛と深く結びついており、多くの貨物列車が行き交い、活気に満ち溢れていた時代を想起させます。現在は廃駅となりましたが、舞鶴港の歴史を語る上で欠かすことのできない存在であり、地域の記憶として大切に受け継がれていくことでしょう。

西舞鶴駅と舞鶴港駅を結ぶ舞鶴線貨物支線は、舞鶴港の貨物輸送に貢献した重要な路線でした。この路線の廃止とともに、舞鶴港駅もその役割を終えました。しかし、その存在は、舞鶴港の発展に大きく貢献した証であり、地域の記憶として未来へと伝えられていくでしょう。

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