航空切手

航空切手とは

航空切手とは、航空郵便の料金支払いを目的として発行された切手のことです。

航空切手の歴史

航空郵便の始まりは、意外にも伝書鳩が使われていました。その後、気球も利用されるようになり、1785年には気球による郵便が登場しました。普仏戦争中には、包囲されたパリと外部との通信手段として、気球郵便が活用されました。

航空機による最初の航空郵便は、1911年にイギリス領インドで行われたとされています。1910年代から1920年代にかけて、航空機の黎明期には航空郵便はまだ試験的な段階でした。

世界で最初の航空切手とされているのは、1917年にイタリアがトリノ―ローマ間の試験飛行に搭載する郵便物に貼るために発行した、速達切手に加刷した切手です。オーストリアも1918年3月に同様の加刷切手を発行しました。世界で最初に、正刷航空切手を発行したのは、アメリカ合衆国で1918年5月のことでした。この切手は他の郵便料金の支払いにも使用できたため、普通切手の一種とも言えますが、航空郵便用の高額な切手でした。

その後、世界各国で航空切手が発行されましたが、1930年代までは飛行船による航空郵便も広く利用されていました。切手のデザインには、飛行機や飛行船、鳥などが用いられることが多く、額面も比較的高額なものが多く見られました。

現在でも多くの国で航空切手が発行されていますが、日本以外の国では、航空切手は航空郵便料金の支払いにのみ有効とされることが一般的です。

日本の航空切手

日本で最初の航空切手は1929年に発行されました。第二次世界大戦後にも再び発行されましたが、国内航空郵便用と国際航空郵便用があり、後者は当時としては高額でした。1953年8月15日に、値下げされた外国航空郵便料金に対応するものとして発行された「大仏航空」切手が、現時点で日本最後の航空切手となっています。1953年に日本国内において航空郵便制度が速達郵便制度に統合されて以降は、専用の切手は発行されていません。

日本では、航空切手と普通切手に使用上の区別がなく、普通切手を航空郵便に使用することも、航空切手を様々な料金の支払いに使用することもできました。そのため、外国航空郵便料金に対応する高額面の普通切手が発行されるようになり、航空切手の存在意義が薄れ、日本の航空切手は姿を消すこととなりました。

航空切手は、そのデザイン性の高さから、切手収集家の間でも人気があります。飛行機や飛行船、鳥などをモチーフにした美しいデザインは、見ているだけでも楽しめます。また、航空郵便の歴史を伝える貴重な資料としても、その価値は高いと言えるでしょう。

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