舳倉島

舳倉島（へぐらじま）

舳倉島は日本海に浮かぶ、石川県輪島市海士町に属する小さな島です。地理的には能登半島の北約48kmの海上にあり、周囲約5km、面積は0.55km²で、最高地点はわずか12.4mの高さを持ちます。この島は約2000万年前の火山活動によって形成され、現在も独自の地形を特徴としています。

地理と気象

舳倉島の北側は険しい崖や岩礁が立ち並び、南側には穏やかな漁港や砂浜があります。過去には、最終氷期の際に海水面が低下し、他の島と陸続きだったこともあります。歴史的には、江戸時代に能登半島から分離された地域です。島の中央には、1931年から点灯している舳倉島灯台があり、42.7ｍの高さを誇ります。この灯台には、以前は海上保安庁の職員が常駐しており、船舶に気象情報を提供していましたが、2005年以降は無人化されています。最近では、気象庁により雨量観測所が設置され、気象観測にも力を入れています。

生物多様性

舳倉島は鳥類の重要な生息地であり、360種類以上の野鳥が確認されています。石川県で見られる野鳥のほとんどを観察できるため、バードウォッチングには最適な場所とされています。さらに、巻き貝やアワビなどの海産物を採取する海女の伝統も受け継がれており、近年では通い海女と定住海女の二つのパターンで漁業が行われています。

一方で、島には過去に存在したニホンアシカが絶滅状態となり、現在はイルカ類やキタオットセイが目撃されることもあります。植物相においても、固有の種が存在し、北方系の植物が南限に見られるなど、島特有の生態系が保たれています。

住民の生活

舳倉島の人口は年々減少傾向にあり、2000年の国勢調査では164人、2020年には66人となりました。漁獲シーズンには人口が200人に達することもありますが、冬は30人ほどに減少します。かつてはあまり住民がいなかった島ですが、島の発展に伴い少しずつ定住する人が増えました。

海女漁とその歴史

島の主産業は漁業ですが、海女による漁業は特に有名です。海女がアワビやサザエを採るために素潜りをし、これが舳倉島の文化の一部となっています。歴史を遡ると、海女のルーツは江戸時代にまで遡り、以来地域の経済を支えてきました。

教育と医療

子供の数が減少する中、地域の学校は休校になっています。医療施設としては市立輪島病院舳倉診療所がありますが、診療所で対処できない患者は外部へ搬送される必要があります。

輸送とインフラ

1960年代には定期船が就航し、2010年代にはしっかりとした輸送インフラが整備されています。このことにより、本土からのアクセスも容易になり、観光等の発展が期待されています。

舳倉島は独自の文化や自然を持ち合わせた島であり、訪れる人々にとって貴重な体験を提供する場所となっています。

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