船内郵便局

船内郵便局（せんないゆうびんきょく）

船内郵便局は、日本郵便株式会社が設置する店舗で、定期的に運航される船舶内に存在します。正確には、2007年10月1日の郵政民営化以来、「船内分室」と呼ばれています。これらの郵便局は東京支社の管理下にあり、日本船籍の船舶においては、公海上でも日本の法令が適用されるため、郵便に関する業務も日本郵政グループによって管理されています。

歴史と開局

船内郵便局の起源は1905年にさかのぼり、下関港と釜山港を結ぶ関釜連絡船において設立されたのが初とされています。太平洋を横断する航路が隆盛を誇っていた頃、日本郵船や商船三井の定期客船内にも郵便局が設置されていました。しかし、航空機による旅行が普及するにつれ、船内郵便局は徐々に減少し、現在では主に政府が主催する長期の海外交流事業や、自衛隊の海外派遣に用いられる艦船、南極観測船や昭和基地においてのみ設置されています。一般的には、船舶が航行中の間だけ営業し、帰港後は速やかに閉店となります。

業務内容

船内郵便局の主な業務は、船内で投函された郵便物の受付や消印の押印、船内の乗組員への郵便物の配達、切手類の販売に加え、船外の利用者からの風景印などの消印押印依頼への対応です。なお、船内郵便局は日本郵便の従業員ではなく、船員や自衛隊員に業務が委託されています。また、ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険の業務は行っていないため、ご注意ください。民営化前は普通郵便局とされていました。

消印の種類

消印に関しては、戦前には内航航路で和文櫛型印、外航航路では欧文櫛型印や欧文表記の風景印が用いられていました。戦後になってからは外航航路のみに限定され、欧文表記の消印が主流となっています。現在開設されている船内局の中で、南極観測船しらせと昭和基地内に設置された局以外は欧文表記の消印を使用しており、特にこの二つの局は和文の消印を採用しています。自衛隊の艦船では風景印は使用されていません。

郵便物の投函方法

船内郵便局で郵便物を投函する場合、乗客は通常の郵便局と同様に、開店中に窓口で差し出したり、船内のポストに直接投函することが可能です。ただし、自衛隊の艦船に関しては、必ずしも全ての艦船に郵便局が設けられるわけではなく、店舗がない艦船の乗員は寄港時に店舗のある艦船に立ち寄り、郵便物を差し出す形になります。

郵便物を投函する際は、「〒100-8799 東京都中央区銀座8丁目20-26 日本郵便株式会社銀座郵便局気付 『○○（船内郵便局名）』スタンプ係」に宛てて行います。特に南極への物資を運ぶしらせは年に1往復しか行かないため、消印押印依頼はその出航の直前に限られます。さらに、自衛隊海外派遣中の艦内局では多くの押印依頼がある場合、通常業務に響く恐れがあるため、郵頼を基本的に受け付けていないことにも注意が必要です。

郵便物の投函や消印の押印依頼については、日本郵便株式会社の郵便局に確認するか、同社の東京支社のウェブサイトで詳細を確認することをお勧めします。

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