船外機

船外機とは

船外機（せんがいき、英: Outboard motor）は、小型ボートなどの船舶に搭載される、着脱可能な推進機関です。船の推進だけでなく、多くの場合、舵の役割も果たします。

船外機の構造と特徴

船外機は、船体後部の船尾板（トランサムボード）の外側に取り付けられます。推進力を生み出すことが主な目的ですが、船外機自体を左右に動かすことで、舵の役割も果たします。通常は1台で使用されますが、必要に応じて複数台を並べて使用することもあります。

エンジンの種類

以前は2ストロークエンジンが主流でしたが、環境問題や燃費の観点から、現在では4ストロークエンジンが主流となっています。燃料はガソリンが一般的ですが、一部にはディーゼルエンジンや電動式のものも存在します。

船外機のメリット

船外機には以下のようなメリットがあります。

故障時の修理や交換が容易
チルト機能により浅瀬での航行や砂浜への上陸が可能
船室内の空間を有効活用できる
船体の歪みによるプロペラシャフトへの影響が少ない
船室内への浸水リスクが低い

船外機の歴史

最初の船外機は、1870年頃にフランスの技術者ギュスターヴ・トルーヴェによって作られた電気式のものでした。その後、ガソリン式の船外機も製造されましたが、当初はあまり普及しませんでした。実用的な船外機は、1909年にノルウェー系アメリカ人のオーレ・エヴィンルードによって開発されました。日本では、1956年に東京発動機（現:トーハツ）が初めて量産機を発売しました。

エンジンの進化

かつては2ストロークエンジンが主流でしたが、排出ガス規制や燃費の観点から、4ストロークエンジンへの移行が進んでいます。近年では、排出ガス規制に対応しつつ燃費性能を向上させたモデルや、大排気量の4ストロークエンジンも登場しています。また、電動式の船外機も開発されています。

船外機の構造と材質

気筒数とシリンダー配置

小型の船外機は単気筒、大型の船外機は多気筒が一般的です。シリンダー配置は、直列型やV型などがあります。

2ストロークエンジンと4ストロークエンジン

かつては2ストロークエンジンが多く用いられていましたが、環境への配慮から、現在は4ストロークエンジンが主流となっています。2ストロークエンジンは排出ガスによる環境汚染が問題視されていました。

クランクシャフト配置

一般的には、クランクシャフトを垂直に配置したエンジンが用いられます。

冷却機構と排気機構

冷却は、プロペラ付近から吸い込んだ水をエンジン内部に通すことで行われます。排気はプロペラ中心の排気管から排出されます。

操作機構

前進と後進の切り替え

歯車機構でプロペラの回転方向を切り替えることで、前進と後退を切り替えます。

出力調整

小馬力の船外機では、チラーハンドルで操舵とスロットルコントロールを行います。高馬力の船外機では、コンソールからワイヤーや油圧システムで操舵し、リモコンボックスでスロットルとギア操作を行います。

錆対策、腐食対策

船外機は水中で使用されるため、錆や腐食に強い材質が用いられています。特に腐食しやすい箇所には、アルミニウムやステンレスなどが使用されます。

推進方式

スクリュー式

スクリュープロペラによる推進が一般的です。

ウォータージェット式

ウォータージェット推進方式の船外機も存在します。また、既存のスクリュープロペラ式船外機をウォータージェット推進式に改造する部品も販売されています。

二重反転プロペラ

スズキの一部のモデルでは、二重反転プロペラが採用されています。

市場、製造者、シェア

船外機の世界市場は、2020年時点で約91億米ドルと推計されています。2014年のシェアでは、ヤマハ発動機が約40%でトップ、マーキュリー・マリーンが約30%で2位、スズキが15%で3位となっています。

主な製造者

ヤマハ発動機
マーキュリー・マリーン
スズキ
トーハツ
本田技研工業
ヤンマー
ヤマト発動機
ジェイモ
日産マリーン (現在は解散)
エヴィンルード / ジョンソン (現在は製造中止)

関連情報

関連項目

船内外機
船内機
エレクトリック・トローリング・モーター
モーター (競艇)

外部リンク

ヤマハ 船外機トップページ
マーキュリー マリーン ジャパン トップページ
ヤンマーガソリン船外機
スズキマリン 船外機トップページ
トーハツ 船外機トップページ
ホンダマリーン 船外機トップページ
日産マリーン株式会社
ヤマト発動機
ハイガー 船外機

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