船舶に乗り組む衛生管理者

衛生管理者の役割と資格

衛生管理者は、船舶に搭載される必置資格者の一つであり、船員法によって定められた重要な職業です。彼らは船内の衛生管理を行い、艦内環境の健康を保持するために必要な業務に従事します。衛生管理者は、医療行為を部分的に行うことができる特別な資格者として、船内の健康管理や保健指導を行い、船員の健康を守るための重要な役割を果たします。

資格の重要性

衛生管理者は、近海区域を超える航行を行う総トン数3000トン以上の船舶について必ず選任する必要があります。彼らは、国土交通大臣が交付する衛生管理者適任証書を取得することで資格を得られます。この証書は、医師の指導のもとで診察や投薬、注射などを行う権限を持ち、船内の医療サービスを担う際の信頼性を高めます。また、近海区域以遠での航行を行う船舶においては、最大搭載人員が100人を超える場合、医師（船医）を乗船させる必要がありますが、衛生管理者がいる場合はそれに代わる形で健康管理が可能です。

衛生管理者の業務

衛生管理者が担当する業務は多岐にわたり、作業環境と居住環境の衛生管理、食料と用水の衛生保持など、幅広い業務が求められます。特に緊急時には、医師からの助言を基に投薬や注射などの医療行為を行うことができるため、彼らの存在は船員にとって不可欠です。

衛生管理者の業務は、労働安全衛生法に基づく衛生管理者の役割と似ていますが、海洋労働特有の状況に応じて規定が異なります。このように、衛生管理者は船員法に基づき根拠法が異なるため、労働者特有のニーズに応じた対応が求められます。

衛生管理者適任証書の取得

衛生管理者となるには、国土交通大臣が実施する衛生管理者試験に合格するか、またはそれに相当する知識・技能を持つことが必要です。具体的には、医師、看護師、保健師などの医療系資格を持つことや、労働安全衛生法に基づく衛生管理者資格を有することが求められます。その他にも、国土交通大臣の登録を受けた講習を修了することで適任証書の交付を受けることが可能です。

試験は例年、関東運輸局や神戸運輸管理部で実施され、筆記試験と実技試験を通過する必要があります。受験資格は満20歳以上で、筆記試験では労働生理や船内衛生、疾病予防などの科目が含まれています。

再講習と他資格

また、定期的に再講習を受けることが義務付けられており、これにより最新の知識と技能を保つことができます。衛生管理者としての経験がある場合は、他の衛生管理者試験への受験資格も得られるため、キャリアの幅が広がります。

このことから、衛生管理者は船舶における健康維持の最前線で活動する存在であり、その資格や業務を理解することが船員の健康を守るために重要です。

もう一度検索