艦隊海兵軍 (アメリカ軍)

艦隊海兵軍（FMF）について

艦隊海兵軍（Fleet Marine Forces, FMF）は、アメリカ海軍と海兵隊の統合的な部隊組織として知られています。1933年に設立され、元々は海軍司令官の指揮下での海兵隊部隊から始まりました。これはその時期に、陸軍からの海兵隊吸収の提案があったため、海兵隊の特有な作戦能力が重視されるきっかけとなりました。存在意義の強化が図られる中、FMFは海軍基地の防衛だけでなく、重要なミッションである「確保」も担当することが求められました。これにより、海軍と海兵隊の戦力が一体化され、戦術の柔軟性が向上しました。

1986年には、ゴールドウォーター＝ニコルズ法の成立により、FMFは海軍の指揮体系からは外れました。この法により、海軍と海兵隊それぞれの構成部隊が設置され、これまでの関係には混乱が生じました。1994年以降は、太平洋海兵隊と大西洋海兵隊の実質的な統合によりFMFの名称はほとんど使われなくなりました。しかし、2010年代の後半になると、再びFMFの重要性が見直され、海軍との連携が強化されることになりました。

現在の編制

現在、艦隊海兵軍は太平洋艦隊海兵軍（FMFPac）と大西洋艦隊海兵軍（FMFLant）の2つのユニットで構成されています。これらの部隊は、海上展開している海兵空地任務部隊（MAGTF）に対して指揮を行う役割を担っています。海兵隊の戦闘部隊（MarFor）は、一般的には海兵隊の主要な3つの司令部、つまり太平洋海兵隊、海兵隊総軍、予備役集団のいずれかの指揮下にあります。しかし、海軍の揚陸艦に乗艦することで作戦統制が変化し、海軍艦隊司令官の指揮を受けることになります。

例えば、第31海兵隊遠征隊は通常、シームレスに第3海兵遠征軍を通じて太平洋海兵隊の指揮下にありますが、第7艦隊の任務部隊に配属された際には、海軍第79任務部隊に切り替わり、海軍および艦隊海兵軍の指揮を受けることとなります。

太平洋艦隊海兵軍（FMFPac）

FMFPacは、太平洋艦隊の第3艦隊や第7艦隊、中央海軍の第5艦隊に所属する海兵隊部隊の管理を行っています。この組織内では、陸上の部隊はアメリカ太平洋海兵隊の指揮下に配置され、第1海兵遠征軍もしくは第3海兵遠征軍に属しています。FMFPacの司令官は、太平洋海兵隊の司令官が兼任し、ハワイ州のキャンプ・スミスに司令部が所在しています。

大西洋艦隊海兵軍（FMFLant）

一方、FMFLantは艦隊総軍の第2艦隊、南方海軍の第4艦隊、欧州海軍の第6艦隊に関連する海兵隊部隊を管理しています。この部隊もまた、アメリカ海兵隊総軍の隷下にある第2海兵遠征軍に属しており、その司令官は海兵隊総軍の司令官が兼任しています。司令部はバージニア州のノーフォーク海軍基地に位置しています。

こうした編成と役割により、艦隊海兵軍は海軍との協力体制を強化し、国際的な安全保障環境における迅速な対応が求められる場面での柔軟さと機動力を備えています。

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