芦田川河口堰

芦田川河口堰について

芦田川河口堰（あしだがわかこうぜき）は、広島県福山市の芦田川河口部に位置し、治水および利水の目的で整備された可動堰です。この河口堰は国土交通省中国地方整備局によって管理され、同時に道路橋（河口大橋）としても利用されています。河口部の湖は漕艇場として使用され、周辺は福山市竹ヶ端運動公園として整備されており、地域のスポーツやレクリエーションに貢献しています。

歴史的背景

芦田川河口堰の建設は、1950年代末から1960年代にかけての経済成長の中で始まりました。特に1961年の日本鋼管福山製鉄所（現・JFEスチール西日本製鉄所）立地により、福山市は急速な工業化が進みました。これに伴い、大量の工業用水の必要性が高まり、芦田川の利水計画が検討されるようになりました。しかし、流量が少なく、都市化が進む中で地域の水需要は増すばかりだったため、下流域の用水確保が急務とされていました。

そのため、1973年に福山市が広島県からダム使用権設定予定者の地位を引き継ぎ、工業用水道施設の建設が行われ、河口堰の建設計画が順調に進められました。そして1981年に竣工し、河口堰は地域の水資源として重要な役割を果たすようになりました。

現在の状況

現在、河口堰の主な役割は塩害の防止と工業用水の供給ですが、元々の目的であった治水機能はあまり活用されていません。最近では、農業用水の供給はほぼ行われておらず、塩害防止の役割が強調されています。さらに、生態系に与える影響も無視できず、1980年代から進行した水質汚濁問題が深刻です。2004年には、芦田川は中国地方の一級河川の中で水質ワースト1位に選ばれるなど、地域の環境問題が顕著になっています。

このような問題に対し、地元の漁業関係者や市民団体は、河口堰を常時開放することを求める嘆願書を提出していますが、福山事務所は限定的な放流を実施するにとどまっています。

漕艇場としての利用

芦田川河口堰は、1994年にアジア競技大会の開催を契機に国際A級漕艇コースが整備され、漕艇活動が活発に行われています。水上スポーツセンター（愛称リヴァマリン）は管理棟として設置され、1996年のひろしま国体でも使用された実績があります。

この漕艇場の特徴として、2,000mの国際A級公認コースを備え、6レーンの水路を有し、水深は約2.5m以上と、ボート競技に適した施設です。また、水上スポーツセンターは福山市が所有し、スポーツ振興のために必要な設備が整っています。

まとめ

芦田川河口堰は治水や利水の重要な役割を果たしつつ、地域のスポーツ振興にも寄与しています。しかし、環境問題への取り組みが求められる中、今後の利用方法や管理についての議論がさらに進められることが期待されます。

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