花のように鳥のように (桂銀淑の曲)

楽曲情報

『花のように鳥のように』（はなのようにとりのように）は、韓国出身の歌手、桂銀淑（ケイ ウンスク）によって歌唱された楽曲です。彼女の12枚目のシングルとして、1994年1月19日に東芝EMIよりリリースされました。作詞を稀代の作詞家である阿久悠が、作曲を多くのヒット曲を手がける杉本眞人が担当。編曲は宮崎慎二が手がけています。

制作背景

この楽曲の誕生には、興味深い経緯があります。もともと、作曲者の杉本眞人は、桂銀淑のオリジナルアルバムに収録する目的でこの曲を書き下ろし、「隣の花」という仮タイトルで既にレコーディングを進めていました。しかし、杉本眞人はこの楽曲にさらなる可能性や普遍的なメッセージを求め、高名な作詞家である阿久悠に歌詞の全面的な書き換えを依頼します。阿久悠によって新たな言葉が与えられ、タイトルも印象的な『花のように鳥のように』へと変更されたことで、現在の完成形となりました。この過程を経て、単なるアルバム収録曲としてではなく、シングルとして世に送り出されることになったのです。

桂銀淑にとっての重要性

『花のように鳥のように』は、桂銀淑自身のキャリアにおいて非常に重要な楽曲として位置づけられています。彼女はしばしば、自身のコンサートやディナーショーなどのステージで、この楽曲を欠かすことなく披露しています。これは、この曲が彼女にとって思い入れが深く、またファンからも深く愛されていることの何よりの証拠と言えるでしょう。

メディア展開と受賞

1994年、本作はTBS系列で放送されたテレビドラマ『婚姻関係』の主題歌として採用されました。これにより、楽曲は全国の多くの視聴者の耳に触れる機会を得て、広く認知されることになります。その楽曲の質の高さは、同年末の音楽賞レースでも高く評価されました。第36回日本レコード大賞では、年間でも特に優れた楽曲に贈られる優秀賞を受賞。さらに、情感豊かで深い世界観を描き出した阿久悠の歌詞は絶賛され、作詞賞も同時に受賞するという栄誉に輝きました。

NHK紅白歌合戦への出場

『花のように鳥のように』のヒットと高い評価を受け、桂銀淑は同年末に放送された第45回NHK紅白歌合戦に出場しました。これは彼女にとって7年連続となる出場であり、当時の人気と実力を証明する出来事でした。豪華な舞台でこの代表曲を歌い上げたことは、多くの人々の記憶に残っています。しかし、残念ながら、この出場を最後に、彼女は翌年以降の紅白歌合戦の舞台から遠ざかることとなります。

作曲者によるセルフカバー

楽曲の作曲者である杉本眞人自身も、この『花のように鳥のように』への強い思い入れを持っていました。彼は、自身でこの楽曲を歌唱するセルフカバーを行っています。このセルフカバーバージョンは、1994年4月にリリースされた彼のアルバム『Only you 〜魂をこめて〜』に初めて収録されました。さらにその後、1996年6月には、「すぎもとまさと」名義でシングルとしても改めて発売されています。作曲家自らが時を経て再び自身の作品を歌い直すという行為は、楽曲の持つ普遍的な魅力や、作者にとっての特別な意味合いを示唆していると言えるでしょう。

同名異曲の存在

興味深いことに、『花のように鳥のように』というタイトルは、日本のポピュラー音楽において他に有名な楽曲が存在します。具体的には、郷ひろみが1992年に発表したシングルにも同名の楽曲があります。両者は全く異なる楽曲ですが、同じタイトルを持つ同名異曲として記録されることとなりました。さらに、本作のシングルにカップリング曲として収録されている「抱きしめてTONIGHT」も、1988年に大ヒットした田原俊彦の代表曲と同タイトルです。この「抱きしめてTONIGHT」は、本作が発売される前年の1993年9月にリリースされた桂銀淑のオリジナルアルバム『アモーレ〜はげしく愛して〜』からのリカットとして収録されました。

収録曲

本シングルには以下の2曲が収録されています。

花のように鳥のように
作詞：阿久悠、作曲：杉本眞人、編曲：宮崎慎二
抱きしめてTONIGHT
作詞：阿久悠、作曲：杉本眞人、編曲：宮崎慎二

関連事項

1994年の音楽
婚姻関係（主題歌となったテレビドラマ）

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